◇ 純 ◇


 「今年は、サンタさん、ここへは来てくれないよね」
  言ったとたん、みんな、あきれ顔でぼくをふり返った。
 「だって、ぼくんちこわれちゃったし、ぼくがここにいるって、
 サンタさんは知らないし」
  しどろもどろで続けてみたけど、でも、だれも何も言わないし、
 笑いもしなかった。

  さっきまで真剣な顔でギロンしていたお兄ちゃんたちがだまり込
 んじゃってから、部屋の中は変にしんとしちゃってて。
  静かすぎて、何だかこわいくらいで。
  お兄ちゃんたちが笑っちゃうようなこと言えば、少しはふんい気が
 変わるかな、と思ったんだけど。
  でも、みんな、変な顔をして、やっぱりだまってて。

 「今は、それどころじゃないんだ、わかってくれよ、純」 
  ようやく遼兄ちゃんが、そう言った。続けて当麻兄ちゃんが、
 「いいか、純、サンタなんてのはな……」 
    って言いかけたんだけど、
 「当麻、さっきの続きだ」
  征士兄ちゃんが横からそう言って、立ち上がった。

 「そうだな、場所を変えて話そう」
 「ほら、遼も来て!」
  秀兄ちゃんと伸兄ちゃんが続けて言って、みんな、部屋から出て
 ってしまったんだ。

  ああ、どうしてぼくはいつも、本当に言いたいことがうまく言え
 ないんだろう。そう思ってたら、
 「純はお父さんやお母さんがそばにいなくても、こんなにがんばっ
 てるんですもの、きっとサンタさんは、わかってるわよ」
 と、ナスティお姉ちゃんが言った。

 「そうじゃなくって、ぼく………」
  そこまで言うと、何だか涙が出そうになって、後が続けられな
 くなった。
 
   
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