◇ 遼 ◇


 「さっきの台詞、純にはストレートすぎたかもね」
  伸が穏やかな口調で言った。
  あれでも、ちょっとは考えて言ったつもりなんだけどなあ……。
  ああ、やっぱりおれは、目の前のことで手一杯で、周囲が見えて
 ないのかなあ。そんなに余裕がないように見えてるんだろうか。

 「なあ、クリスマスパーティ、やろうぜ」
  って、突然、秀が言った。
 「悩んでてもしょうがないし。ここらでいっちょ気分転換だ」
 「じゃあ、秀にはツリー用の木を切ってきてもらおうかな」
  本気なのか、伸までがそんなことを言う。

 「じゃ、おれも行く」
  おれは思わず、そう言っていた。
  そうだよな、本当なら今頃、純はお父さんやお母さんと一緒に
 過ごすクリスマスを指折り数えて待ってる筈だったんだ。
  それが、実際には日ごと激しくなる戦闘の渦中にいる。
  せめて、クリスマスぐらい、楽しませてやりたい。

  そんなことを考えてると、当麻の驚く声が耳に飛び込んできた。
 「な、何だそれ、ホントかよ〜?」
  振り向くと、征士が、
 「冬休みの行事といえば年賀状書きと大掃除、そして連日の寒稽古、
 それだけだ」
  何故か、苦々しげな顔つきでそう言った。



 
  ←back
next→