◇ 当麻 ◇


  全く、コイツは口煩くてかなわない。
 「きさまというやつは! 純真な子どもの夢を壊す気か!」
  いきなり、これだもんな。
 「今どき、本気でサンタクロースを信じてる小学生なんていないぞ、
 このまんまで先へ行って、友達の前で恥をかくよりは、今の内に、
 ちゃんと真実をだなあ…… 」
  知らせてやった方がいいと、おれは思うんだが。

 「子どもの頃からかわいげもなくひねていたであろう、きさまと
 一緒にするなッ」
  なんて言うんだもんな。じゃあ、一体、お前は幾つぐらいまで
 サンタなるものの存在を信じてたんだ?

  そう訊いたら、征士は何だか妙な顔をして、そんなことはどう
 でもいいだろう、と言うから、どうでもいいことがあるもんか、
 それを聞かなきゃ納得しない、とおれは言ってやった。
 「一般的に純真な子どもだと思われる時期までは信じていた、なー
 んて逃げは無しだぜ? 具体的な年齢を言って欲しいなあ」
  おれは、機先を制したつもりだった。

  が、こいつの答えは、まったく『伊達征士』そのものだった。
 「いや、私はサンタクロースの存在そのものを知らなかったのだ」
  って………なんだ、そりゃー?
  驚くおれに、続けて征士はこう言ってくれた。
 「だから、伊達家の年間行事にクリスマスは無いのだ!」
  そ、そんなのありかーッ?



 
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