◇ 伸 ◇


  智将なんて、詐称なんじゃないの?
  って思ったぐらい、当麻が考えたプレゼントはひどかった。
 「何だよ、この家庭教師券一年分てのはー?」
 「貰って一番嬉しくないプレゼントだよな、手抜きだし」
  遼や秀に文句を言われて、じゃあ本にするって言うんだけど、
 『相対性理論』と『孫子の兵法』ってのはないんじゃない? 

 「いや、どっちも小学生の時に読んで面白かったから…」
 「嫌味なやつだ」
  ほら、征士にまで言われてる。
  まあ、時間の余裕がなかったから、ぼくたちだってろくなものを
 用意できなかったけど、でもそれぞれにマグカップとかボードゲーム
 とか、このトンチキ智将よりは遙かにマトモなものを選んでたよ。
  
  全く、何考えてるんだかね、と思ってた。
  でも、イブの日の午後になって、一枚のカードが届いたんだ。
 「サンタからのクリスマスカードだぜ、しかも、純宛!」
  他にも幾つか郵便物を抱え、遼が部屋に入ってくるなり言った。
 「えーッ? 本物?」
 「本物だろ、この横文字、英語じゃないぜ、消印は…ストックホルム
 って、北欧の都市名だよな、確か?」

  北欧なことは確かだけど、でもサンタクロースの故郷って、フィン
 ランドじゃなかったっけ? まあ、みんな素直に驚いてるようだし、
 純も喜んでるみたいだから、余計なことは言わないでおこう。
 「英語じゃなくても読めるでしょ? 当麻、読んであげなよ、純に」
  おや、何も睨まなくってもいいじゃない、きみもたまには智将らしい
 ことするんだなって、感心してたんだよ?

  その夜のクリスマス・パーティは、本当に盛り上がった。
  遼と秀が切り出してきた樅の木は大きすぎて部屋に入らず、結局
 庭先でデコレーションされてぴかぴか光ってたし、征士の飾り付けは、
 クリスマスというより、幼稚園のお誕生会っぽかったけど。
  でも、みんな上機嫌でクラッカーを鳴らし、プレゼント交換をして、
 ご馳走を食べて、クリスマスソングをメドレーした。  

   ところで、秀、きみが歌が巧いのはよ〜く、わかったよ。
  でも、いい加減にマイクを置いて、クリスマス・ケーキに取りかか
 ろうよ。ぼくとナスティの快心作なんだからさ。



 
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