4 伊那村報にみる国策(戦争)遂行のスローガン
 
<どのようにして戦争に突き進んだか>

<長野県上伊那郡伊那村・現駒ヶ根市東伊那>
            自 昭和13年6月  〜  至 昭和15年10月15日 まで発行
            (1938)               (1940)   
<2年5ヶ月、29号まで発行され、“その筋”の圧力により廃刊となりました>


●第1号(昭和13年6月25日)

・勅語(天皇のおことば)       (4月17日、自治制発布50周年記念式)
「今や希有の時局に際会せり、朕が忠良なる臣民、克私を去り公に奉し、規制に恪遵して益々自治の根底に培い、もって国家無彊の康福を増進せんことを期せよ」
・・・今やまれな時世になった。朕(天皇)の家来である国民は、私をすて、公に奉仕せよ。
○村報・第1号、村長による「発刊の辞」
「今やわが国は東洋永遠の和平を期せんがため、未曾有の国難に遭遇しており、まさに
我々国民は、挙国一致、非常時局打開のため、まい進せざるべからざるは言をまたざる所であります。」
・昭和13年度伊那村歳入歳出予算、総額2万8298円。
非常時下、国民精神総動員の趣旨に立った予算である。
・戦はこれからだ!!


●第2号(13年7月10日)

支那事変勃発1周年を迎えて・・伊那村長 ○○○○
思えば昨年7月7日、蘆溝橋における一触が、正義の聖戦をおこしてより一周年、皇軍の進撃きわめて神速にして、すでに北支5省を完全に手中におさめ、中支にあっては江蘇、淅口、河南、安徽の主要都市を掃討しまして凱歌実に全戦線を圧し、意気すでに敵の中心地、漢口を呑むの慨があるのであります。    <中略>
われわれ第2線にあるものは、忠勇無比なる殉国の将兵にたいして、何をもって酬いるべきか。
億兆一心『心に軍服を着る』事であると思います。

〇心にきざむべき7月7日 !! 支那事変勃発1周年記念実施事項
@各戸国旗を掲揚すること
A難打開戦没将兵の英霊の追悼、出征将兵の武運長久祈願の黙祷
7月7日正午を期し、全村民一斉に各々、在所において、1分間これを行うこと「サイレン」をもって合図をなす
B事変戦没軍人の追悼ならびに出征軍人の武運長久祈願祭執行
於・7月7日、午前9時校庭忠魂碑前
C廃品献納、廃品となりたる金物類。農会は稲扱い万鍬廃品募集献納
・貯蓄報国・・長期戦に入れる今次支那事変に対し、我が国民は堅忍持久の精神をさらに強固ならしめ、銃後国民の責務を理解実践して、決定的勝利の日の一日も早からんことを祈念すべきであります。
<村における貯蓄目標、従前の貯蓄の2倍>
・戦はこれからだ!!


●第3号(昭和13年8月10日)

・国民精神総動員『八紘一宇』の御旗の下に決起せよ
全日本国民がこの「八紘一宇」の御旗のもとに打って一丸となり、万死あえて辞せずして進むところ遂に敵なく、一草一木の微に至るまで、皇恩になびきまつろひ、かくて新たなる世界の曙光は極東日本より輝き出ずるであろう。
たて!国家総動員のために! 翻せ(ひるがえせ)!八紘一宇の御旗を!
注・「八紘一宇」とは
太平洋戦争期における、わが国の海外進出を正当化するために用い
た標語で、世界を一つの家にする意味。日本書紀の「兼六合以開都、
掩八黄紘而為宇」から、田中智学が日本的世界統一の原理として、
明治36年に造語したもの。
・戦はこれからだ!


●第4号(昭和13年9月10日)

●「光栄の孤立」一本立で戦う
武力戦で蒋介石政権と戦い、思想戦でソ連と戦い、経済戦で英仏と戦い、たたかい抜いて理想の東洋を建設する。端的にいえば、これが支那事変の真の姿である。
こう考えてくると、外国などで、今に日本は経済的にまいるであろうと見るものもあるが、
今日の日本は昔日の日本ではない。いや十数年前の日本でもない。土地も広くなっていれば、物も人も多くなっている。問題はこれを戦争目的の方向に向けうるかどうかにあるだけである。
次に根気に乏しい日本人は、事変が長引く場合にはたしてどうなるかと懸念する人がある。これは国内にもあるようであるが、誤りもはなはだしいと思う。
さめ易い欠点も考えられるが、その反面日本人ほど強靭性に富んだ民族は他にないのである。前九年の役、応仁の乱などは、戦国時代に示した我らが祖先の耐久力を見よ。いかなる困難にぶつかろうが、いかに長期にわたろうが、一歩もしりぞかざるは、実に3000年来、やしなって来た日本精神の真髄である。
思想戦よし、経済戦よし、武力戦よし、さらに長期建設戦あえて辞するものにあらず。神明も我らの底力を御照覧あれ。
日本は一本立ちで戦うのである。そして必ず勝つのである。
・見よ!!銃後納税報国の完璧を  納期内完納実現  
<誇るべき画期的飛躍向上 多謝!!村民各位のご努力>
すべて村柄(村民の人柄)の善悪は、納税成績の良否によって推定される。さらに細別すれば、耕地柄、部落柄も同様推定できる。よい村柄!!それは明朗村建設の第一歩である。
ウサギ増殖は銃後の務め・・昨年に比較して六割にしかなりません。昨年軍用として多量に剥皮したため、種ウサギが少ないことが大原因ですが、昨年末から早春にかけての子ウサギはボツボツ種ウサギとして資格が出来ますから極力増殖をはかってください。


●第5号(昭和13年10月10日)


《『生活も国策にそえ』
戦線勇士の困苦欠乏を想い、多少の不自由は我慢せよ 》

・生活も国策線に沿え・・戦線勇士の困苦欠乏を想い、多少の不自由は我慢せよ。
事変の長期化とともに戦争の主導はますます銃後戦となり、経済戦となりゆく。我ら一億同胞は、蒋介石政権の徹底的壊滅を決意した瞬間より、目的貫徹のためにはいかなる困難、いかなる試練にも打ち勝って、この重大なる時局を乗り切る堅き信念と、強き覚悟とを固めたのである。
したがって、事変の進展にともない、必然的に国民日常生活上に起こり来る、加わり来る幾多困苦欠乏、また国家の必要により国民日常生活上に課せられる幾多の制限のごときは、事変当然の結果として、われわれ国民はよろこんでこれを突破して行く強き覚悟を心の奥底深く持っていないなければならない。
いかなる不自由が、いかに長期にわたるとも、「持たざる国」の国民に過ぎたる生活と感謝して、耐え忍ばねばならぬ。
 
国策を理解して聖戦貫行に協力するのは、銃後当面の義務と銘記すべきだ。
対経済戦生活実践項目参考・案
1、綿製品、麻製品、毛製品、皮革製品、ゴム製品、金属製品等は出来うる限り新調を差し控えること。
2、紙の節約に務めること。
3、綿製品、麻製品、毛製品、皮革製品、ゴム製品、金属製品、紙類廃品、屑物などは死蔵することなく、ただちに払い下げること。
4、住居の新築、改築は出来うる限り差し控えること。
5、石炭、ガソリンその他燃料の節約に努めること。
6、電力、電灯の節約に努めること。
7、金(きん)を政府へ献納または売却すること。
8、貯蓄を励行すること。
9、冠婚葬祭の簡易化、贈答、宴会の自制、その他一般生活の刷新緊縮を行うこと。
10、買占め、売り惜しみ、買いだめをしない。価格、料金引き上げを極力避けること。
11、以上に準ずる消費節約、廃品更生、貯蓄、物価騰貴抑制、生産増進などにつき、有効なる事項を実践すること。
時局に鑑み、断固生活改善をはかれ。生活改善、節約貯蓄。
自己の生活を検討し、「非常時経済生活」をはかり、生活改善村申し合わせ規約を実行すること。
・村民熱誠の結晶、飛躍向上の納税成績、感謝!!村民各位のご努力。
<9月15日、第三期特別税は完納の成績を収めました。>


●第6号(昭和13年11月10日)


  《あゝ世紀の凱歌たからかに、万歳!武漢三鎮完全占領》
大本営陸海軍部公表(10月27日午後6時30分)
我が軍は本27日午後5時30分、陸海軍協力し残敵を掃討し、武漢三鎮を完全に攻略せり。
待望の広報は発表された。敵の最大抗戦の本拠である第二の首都武漢三鎮の陥落をみたことは、まことに慶賀にたえない。
武漢三鎮がいかに枢要な地かは、「武漢三鎮を制するものは長江を制し、延ひて中原を制し得べし」の古語によって明である。
わが勇敢無比なる皇軍の進撃めざましく、世界戦史上不朽の戦果を収めたことは誠に恐懽感激にたえないしだいである。<中略>
これによって事変の終結を期待することは絶対に許されない。
事変はまさに長期建設の新段階に入ったのである。
我々国民は「勝って兜の緒を締めて」新東亜建設に萬遺漏なきよう、ますます堅忍持久、粉骨砕身、御稜威緒をいただきつつ勇往邁進いたしたいと信ずる次第である。
◎本村における祝捷行事
1、広報発表と同時にサイレンにより一般へ周知し各戸国旗掲揚
2、祝捷記念式、煙火合図集合
@開式28日午後7時、於・小学校庭 A国歌斉唱 B宮城遥拝 C陣没将兵ならびに皇軍武運長久黙祷。漢口の空(西南)に向かって1分間
D誓詞朗読 E万歳奉唱 F閉式 ついで祝酒、祝品をいただき提灯行列発進。
3、ちょうちん行列 ラッパ隊、各団体旗、各団体長名誉職、小学校生徒、青年学校生徒、婦人会員、女青会員、男青会員、商工会員、消防組員、一般村民の順にて村内一巡。伊那森神社において万歳三唱解散す。
◎未曾有の人出にてすこぶる盛儀なりき。
・戦はこれからだ!!・・・長期建設の戦はこれからだ。国家総動員の秋・・国民の覚悟こそ必要だ。


●第7号(昭和13年12月10日)


・完納の驚異的納税成績。  勇士の戦う苦労を思えば、納税遅れちゃ相すまぬ。
“無駄を省いて働く家に、期日違えぬ納税日 ”
・編集余録
・武漢三鎮の陥落で、支那事変の関が原は過ぎたようだ。蒋介石は一の谷以後の平家に似たさすらいの身の上、自業自得とは言えしみじみと浮世のままならぬを感じているであろう。
・だが、日本から見れば、蒋介石はソ連や英仏の番犬ぐらいのもの、本当の敵はやがて見参するであろうが、いつにても我に用意有り。
・では明春また・・さようなら。


●第8号(昭和14年1月10日) 


・春とはいえ、事変下を忘却すべからず、一杯の屠蘇、一椀の餅を口にするにも、今尚戦線に幾多の困苦欠乏に耐えつつ銃火の下で形ばかりの正月を迎える皇軍兵士の身を偲ばねばならん。


●第9号(昭和14年2月10日)


日本精神発揚週間 <2月5日〜2月11日>
◎事変下三年の光輝ある紀元節を迎えるに当り、全国一斉に日本精神発揚習慣が実施されて、神武天皇の御創業をしのびたてまつり、八紘一宇の精神の顕揚を中核として我が尊厳なる国体、宏遠なる肇国の理想、日本文化の発揚に努め、もって東亜新秩序の建設に邁進すべき国民の覚悟を強調することになりました。
◎紀元節は『御国の建国祭』として、国家紀元祝福の国民綜合運動たらしめなければなりません。・・・紀元節当日、午前9時(サイレン合図)心身を清めて宮城遥拝。
◎家庭において行う行事
@国旗掲揚 A早朝、神及び祖先の墓に参拝すること。 B「梅の節句」として祝い、建国料理(赤飯、五目飯、建国だんご)の調製
◎村として行う行事
@納税組合表彰式  A本村更生記念日、各自更生計画の再検討をなすこと
B努めて学校の式に参加すること。
・完納!!一月納税成績
勇士の戦う苦労を思えば、納税遅れりゃ相すまぬ。・・・完納報国

●第10号(昭和14年3月10日)

・陸軍記念日・・3月10日・・・天皇陛下の御稜威に感謝し、歴代神霊のご加護を感銘し、皇軍将兵のご奮闘を感謝す。
  護国の英霊に合掌。・・・・・一分間の黙祷。(3月10日、正午 サイレン合図)


●第11号(昭和14年4月10日)


真綿供出報告・・国防婦人会のご努力により好成績を深謝す。
梅漬供出成績・・婦人会諸姉の労を多謝す。目標・55貫目、供出数量・53貫目
有意義なりし「部落懇談会」・・・余興、北原桃葉の講談。
3月16日より20日まで開催いたしました。
<懇談事項>
@
国家総動員に関する件  A納税成績向上に関する件  B応召軍人、遺族家族援護に関する件  C勤労奉仕班の活動促進に関する件  D農業生産物確保の関する件  E満州移民に関する件  F梅干供出に関する件


●第12号(昭和14年5月10日)


・見よ!!銃後納税報国の完璧を  完納!!4月の納税成績。
・金(きん)総動員!!金を政府へ売りましょう
○金の保有者は、県下各銀行出張所において取り扱いますから政府に金を売りましょう。  ○村各種団体においても本運動の趣旨の徹底強化をはかりましょう。
○時局をよく認識し、金製装飾品の全廃。○お互いに金保有者に対して金の売買を勧誘しよう。
◎金を政府に売るのも奉公の一つです。金指輪、時計の金側、金鎖、金貨幣など、金製品は残らずこの際政府へ売りましょう。
・満州農業移民
本村、上塩田馬場謙君は雄々しくも満州農業移民を志望。5月5日北佐久郡川辺村御牧ヶ原修練農場へ入所いたしました。
<大和民族の大陸移動!!土の戦士よ、行け新天地開拓!!>


●第13号(昭和14年6月10日)


・貯蓄報国  一億一心輝く勝利  消費節約報国貯金
○好況、増収の日においてこそ不況、減収の時に備えよ  ○今日こそ昭和5年の不況時を回顧せよ  ○蚕糸業、農林産物の活況に幻惑するな  ○忍苦数年間の苦境を忘れるな  ○今日こそ自粛、自戒、緊張味を失うな
・見よ!!銃後納税の完璧を。完納!!五月の納税成績。多謝!!全村民の努力
<5月28日納、国税  第4期 田租  274円89銭   完納>
・養兎(ウサギ)報国   第一線勇士の防寒服の資源
“うさぎを一戸必ず6頭以上飼いましょう”

・人的資源の確保に “乳児対策実施” 5月より9月まで実施
厚生省では、全国一斉に乳幼児の検診、育児の指導を実施し、合わせて一般育児思想の普及向上を図ることとなった。
乳児の健全なる発育をはかるは、人的資源強化を強調すべき時局に鑑み極めて緊要なる対策の一つである。


●第14号(昭和14年7月10日)


《支那事変勃発2周年記念》 銘記すべき7月7日!
●当日は各戸国旗掲揚
旭日礼拝
  日の出の時刻を期し、各部落ごとに適当の場所に集合して礼拝
●戦没将兵の英霊追悼ならびに出征将兵の武運長久祈願の黙祷(全国的)
  当日、正午サイレン合図に全村民は各々の在所において一分間黙祷
●現下国際情勢の変異と興亜大業の意義とをさらに深く認識し、挙国一致体制のもと、いよいよ国民精神を総動員し、国家総力の増強をはかり、もって帝国所期の目的貫徹に邁進すべき、国民的決意を鞏固せんことを期す。
さしいずる この日の本の 光より
高麗唐土(こまもろこし)も 春を知るらん
本 居 宣 長

・産業組合欄
銃後の奉公 ※全組合員こぞって応募せよ、愛国貯金  ※国民精神総動員


●第15号(昭和14年8月10日)


・八紘一宇とは・・・
今度の聖戦は、神武天皇の時からの大理想の実現である。遠き土地、四方八方、津々浦々まで自分のものである。満州、支那における軍事行動は正しく、この理想に従った皇軍の動きである。
・暑中お見舞い  祈る、武運長久   伊那村出身、並びに関係将兵各位
・軍人送迎  その筋の注意により “煙火打ち上げ廃止”  国策上県下一斉必行
・“強く、正しく、愛らしく”   
児童を愛護せよ。 乳幼児体力向上検診実施。
乳幼児の健全なる発育をはかるは、
人的資源の拡充強化を強調すべき現下の時局にかんがみ極めて緊要なる対策の一つである。


●第16号(昭和14年9月10日)


・興亜奉公日・・・設定される    “公私生活を刷新し、戦時態勢化を期す”

1、趣旨
当日村民は、戦場の労苦をしのび、皇国臣民として生活態度を反省して、自粛自戒し、これを日常生活のうえに具現するとともに、興亜の大業を翼賛して一億一心奉公の誠を致し、強力日本建設に向かって邁進し、もって恒久実践の源泉たらしむる日となすものとす。
2、名称  興亜奉公日
3、毎月・・1日。昭和14年九月1日より実施。事変中これを継続する。
4、
実行要目
イ、官庁、学校その他団体などにおいては朝礼を行うこと。
ロ、早朝起床し、神社参拝を行い、出征将士の武運長久を祈願すること。
ハ、各戸に国旗を掲げること。
ニ、戦没勇士の墓参、墓地の清掃等を行い、護国の英霊に感謝を捧ぐ。
ホ、前線将士に慰問文、慰問袋の送付、傷痍軍人の見舞い、出征軍人遺家族の慰問などを行うこと。
へ、特に緊張して働くこと。
ト、
禁酒をすること。
チ、
遊興をやめること。
リ、この日に節約したる金は、必ず貯金すること。
◎ 一億一心 輝く勝利
・ この際、戦時家計十則
一、この際は、金の売却皇国のため
二、この際は、何でも生かせ死蔵品
三、この際は、断固やめよ新調を
四、この際の、貯蓄倍化は主婦の技量
五、この際の、奢侈や浪費は国の仇
六、この際は、勤倹勤労国富ませ
七、 この際は、わけても尊べ人的資源
八、この際は、戦地思えば不足なし
九、この際は、戦時予算の実践を
十、この際は、我も一役経済戦


●第17号(昭和14年10月10日)

永えに持続せよ!! 国民感謝の後援を
◎銃後後援強化週間・・・官民協力その完璧を・・・・・
時局に鑑み、断固生活改善をはかれ!!
  ・・・生活改善、節約貯蓄・・・自己の生活を検討し、「非常時経済生活」をはかり、生活改善村申し合わせ規約を実行すること。
・※帰還兵のみやげ物、絶対廃止励行  ※必ず厳守されたし


●第18号(昭和14年11月10日)


・時局に鑑(かんが)み、断固生活改善をはかれ  生活改善節約貯金
   ◎自己の生活を検討せよ!   ◎非常時経済生活をはかれ!


●第19号(昭和14年12月10日)


国民精神総動員・・・・風潮刷新生活改善・・・・
一、時艱の克服一致団結
二、不動の精神困苦に耐えよ
三、協力一致銃後の固め
四、働け身のため、国のため
五、備えよ常にあらゆる力
六、弊習の打破、形より精神
七、工夫して物を生かせ
八、舶来品より国産品
九、無駄を省いて国力を培え
十、戦に勝ってもおごりに負けるな
・ 来春  元旦の興亜奉公日
奉祝の時間  午前9時。 小学校の拝賀式に参列。各家庭で遥拝。
おお紀元2600年のお元旦、百年に一度のこのお元旦、聖戦第4年の初の奉公日、ウンと張り切って迎えましょう。

・完納!!11月の納税成績  ★銃後納税報国の至誠いよいよ完璧・・・・
・産業組合欄   全力を上げて、国策に順応せる、産業組合事業報告について
○事業成績 ○伊那村産業組合、米穀販売共同計算要綱 
○米穀集合検査について


●第20号(昭和15年1月10日)


・紀元2600年を迎えて ・・・・・伊那村長 ○○○○
皇威八紘に洽き聖戦下第4年、ならびに光輝ある「建国2600年」を迎えて、まず恭しく、聖寿の万歳、皇国の彌栄を寿ぎ奉り、我が忠勇なる皇軍将兵のご奮闘にたいし、無量の感謝をささげ、いよいよ武運長久をお祈りするしだいであります。
ああ、紀元2600年!
何たる光栄、何たる歓喜感激ぞや。
いまや世界をあげて混乱苦悩のなかにあり、我が皇国も聖戦まさに半ばにして、到底一日の安逸だも許されぬのであります。
皇紀2600年の祝典は、今日この際は形式を簡潔にして精神に重きを置くことを忘れてはならぬと存じます。
すなわち、八紘一宇の大理想のもとに、新東亜建設の鴻業を翼賛し、奉らんことこそ、誠の奉祝と申すべきであります。
                                                           伊那村長  ○○○○

・紀元2600年を迎えて、神武御東征をしのび奉る ・・・・・投書
・謹みて、皇威四海に輝く紀元2600年の新春を迎え、各位のご健闘を深謝し武運長久を祈り奉る。伊那村出身、出征、在営将兵各位へ・・村長、銃後後援会長、小学校長、郵便局長、受け持ち巡査、他村の顔役20数名連記。
・守れ!!銃後油断大敵 “火の用心”火災防止は銃後の務め!!伊那村警防団


●第21号(昭和15年2月10日)

・紀元2600年  たたえん建国の佳節
国民奉祝の時間  2月11日午前9時(サイレン合図)心身を清めて宮城遥拝。
村として行なう事項    納税組合長表彰、本村更生記念日、各自更生計画の再検討、紀元節祭 高鳥谷神社において午後2時より、全村民参拝のこと。
家庭において行なう事項    @国旗掲揚 A早朝、氏神及び墓に参拝 B『梅の節句』として祝い建国料理(赤飯、五目飯、建国だんご)の調整。
・紀元2600年の奉祝歌
一、金鵄輝く日本の  栄えある光身に受けて  いまこそ祝えこの朝 
紀元は2600年 ああ一億の胸は鳴る・・・5番まで
・貯蓄報国・・・一億一心輝く勝利
○今日こそ昭和5年以来の不況時を回顧せよ ○今日こそ不況、減収のときに備えよ ○今月こそ消費節約報国貯金 ○昭和14年度本村貯蓄目標にはまだ5400余円不足している、3月までに完遂を ○昭和15年度貯蓄目標、5万円、村民一致協力貯蓄報国の実をあげられたし。


●第22号(昭和15年三月10日)

・全村民協力一致 戦時節米報国運動   各家庭とも実践せよ!!
    全村民協力一致!!◎節米・一割目標
  全国民の一大運動を展開し、戦時国民食料の安定を期せんとす。
○家庭における実施方法
各家庭においては、もれなく「共通実践項目」を実行するとともに、「選択実践項目」の中の一つは必ず実行すること。
  1、
共通実践項目(必ずおこなうこと)
@7分つき米、常用の徹底
A完全咀嚼(そしゃく)の励行
B無駄米の排除
洗い方を軽度にし、流出米を防止するとともに、残飯の処理に留意するなど、一粒の米も無駄にせぬこと。
  2、
選択実践項目(いずれかを選び実践すること)
@混色の励行(麦、その他雑穀、豆類、いも類、根菜類など最低1割)
A代用食の励行(3日に1食は小麦粉、ソバ粉、その他の代用食を行う)
B雑炊、かゆ食の励行(少なくとも一週に三食、行うこと)


●第23号(昭和15年4月10日)

・戦時貯蓄十則
@百億の貯蓄は家庭予算から
Aわずかでも機会逃さず貯蓄せよ
Bボーナスはそっくりそのまま国債に
C衣食住国産品で一貫せよ
D無駄な手土産やめにせよ
E宴会費かさねば予算総崩れ
Fよろこんで家庭そろって勤労を
Gこの際は、冗費も節約国債へ
H国のため、資源の開発家庭でも


●第24号(昭和15年5月10日)

《遺書・天皇陛下万歳》
@天皇陛下万歳
  御楯と散り得たる感激誠に何にか譬へん
A将校団各位
  御厚情を深謝す 御発展を祈る 光栄の工兵○○○隊に天佑あれ
B同期生各位
  御厚情を深謝す 御発展御奉公を祈る 天の一角より各位の奮闘を悦ぶ我あるを知れ
C御父上御母上
  先立つ不孝申し訳なし しかれども秋夫は 大君の御為に喜びて死せり
D 兄弟妹各位
    御健康御奉公を祈る 秋夫は法悦のきょうちにて死せり
E 中隊兵各位
    何ら尽くすことなく死するは はなはだだ申し訳なし 不敏なる我に致されたる御厚情心から禮を述ふ 天より各位の武運長久を祈る
F 朋友知己親戚各位
    生前の御厚情を謝す 御発展を祈る
    
天皇陛下万歳 嗚呼我は悦ひて死せんとす ○○○○印<>

謹みて英霊を弔ふ
故 陸軍工兵中尉 正八位  ○○○○君
建功院貫忠義徹大居士
村葬儀は春もまさに暮れんとする4月28日午後1時より
本村小学校庭において厳粛裡に執行されました。


●第25号(昭和15年6月10日)

《銘記せよ!7月7日・支那事変勃発3周年記念日》
@ 7月7日は各戸国旗掲揚
A
旭日礼拝 日の出の時刻を期し、各部落ごとに適当の場所に集合して礼拝すること。
B 戦没将兵の英霊追悼ならびに出征将兵の武運長久祈願の
黙祷。(全国一斉)
    当日正午サイレン合図、全村民は各々の在所において1分間の黙祷をささげること。
〇 現下国際情勢の変異と興亜大業の意義とをさらに深く認識し、挙国一致体性のもと、いよいよ国民精神を総動員し、国家総力の増強をはかり、もって聖戦目的達成に邁進すべき国民的決意を鞏固にせんことを期す。
< 国を守った傷兵護れ >


●第26号(昭和15年7月10日)

《いまだ遺憾の点少なからずの現状、徹底方策決定・興亜奉公日》

毎月1日  興亜奉公日
○ 戦場の労苦をしのび自粛、自戒せよ
○ 一億一心奉公の誠を竭せ
○ 皇軍に感謝し遺家族を守れ

 興亜奉公日徹底方策
1、「趣旨」「当日全村民は、こぞって戦場の労苦を偲び、自粛自戒を実際生活に具現するとともに、興亜の大業を翼賛して一億一心奉公の誠を致し、協力日本建設に向かって邁進し、もって恒久実践の源泉たらしむる日」として、その趣旨の徹底に努め、戦時生活の確立に貢献する所多大なりしとはいえ、いっそう徹底して所期の目的の貫徹に邁進することを期す。
2、「
方針
   イ、能率増進  ロ、増産励行  ハ、節米実践  二、克巳生活 
   ホ、貯蓄実行  へ、勤勉力行


●第27号(昭和15年8月10日)

《いまだ白米を食べている者は、穀賊だ!!》

◎ 奉公米配給について
砂糖と同様、飯米の切符制が8月から実施されることになりました。
なお、左記、特に熟読ご了知ください。
1、 基準消費量は、平均一日・二合八勺。これだけでは不足と思いますが、その不足分は、混食、代用食、その他節米によって補ってください。
2、 混食、代用食などによっても配給数量が不足の場合は、役場へ申し出てください。飯米がなくて困らせるようなことは、絶対に致しませんからご安心ください。
3、 飯米購入申し込みは、最少限度の必要量を申告してください。
4、 本村奉公米配給所は産業組合です。
5、 不慮の出来事によりお米を沢山消費する場合は、役場の証明により申請配給を受けることが出来ます。
6、 配給を受けようとする場合は、切符裏の注意書きを良く見てください。
7、 奉公米運動の精神は、国民全部が同じ程度の不自由を忍びあって、協力一致国策に順応して、現下の食糧問題を解決するにありますので、全村一戸残らず節米を徹底的に実践して下さい。
いまどき、まだ白米食をしている様な者は、病人でない限り穀賊と断言してはばかりません。

・ 戦時下!!無駄なき生活の創造へ
  
※旺盛なる奉公心 ※不抜なる持久力   捨てよ贅沢品   建てよ新生活

・ ♪♪ 国民進軍歌 ♯♯   軍事保護院選定
この陽 この空 この光   アジアは明ける厳かに   燃える希望の一億が
傷痍の勇士 背に負うて  いま踏みしめる 第一歩  使命にこぞる 進軍だ


●第28号(昭和15年9月10日)

・ 完納報国  9月納税予告。完納!8月納税成績。納税報国の赤誠いよいよ堅固
・ 近く金の強制買い上げ実施
・ 長野県護国神社 ・整備資金募集  本村分担金、393円、大体一世帯金一円。
・ 信濃宮神社創建寄進金募集  一世帯、金20銭あて
・ 炭の節約と自給を図れ
・ 銃後のまもりに耕地の総動員。  
作れ麦を!!

・ 滅私奉公・・われら大和民族は、自己を捨てて、国家永遠のためにつとめること
 2600年、日いずる東海の大帝国は、厳として全世界に王者の貫禄を示しえた。
 願わくは、生きがいのある生き方、死に栄えのする死に方をしたいと思う。
 ご奉公の誠を尽くして去りなんと思う。


●第29号・最終号(昭和15年10月15日)

《日独伊三国同盟成立!村報廃刊、口から耳へ非常時体制で行く》
時局克服の詔書(天皇のお言葉を書いた文書)渙発あらせらる
帝国の当面する重大時機についての深き思し召しから、国民の進むべき道を示させ給う。
一億国民は、聖旨を奉戴してさらに協力戮力もって、聖慮に応え奉らねばならぬ。
◎ 常会は実践協力体
   常会は国民精神総動員の有力なる実践網として、重要なる機関であって、時局を認識し、政府の方針および国策を国民の細部まで徹底せしめ、その協力を求むるに緊要なものである。
・ 上意下達、すべての国策がこの常会によりて実行に移される。
・ 月一回開催し、時局の認識を高めその部落が全員一致の行動をとる。
・ 要するに、官民一体となり、一億一心国民精神の高揚と、国家総力の充実発揮につとめ、非常時局を克服し、世界新秩序建設の礎石となるのが常会である。
<村報廃刊の辞  伊那村長  ○○○○>
  今般、
新体制への国策に順応するため、全国的に町村報、各種団体報などの廃刊をその筋よりすすめられ、本村としては、本号限り自発的に、廃刊いたすことに決定いたしました。  (中略)
 
新体制への発展的、飛躍的国策に順応するためには当然の事です。
 
村報は廃刊しても、今後は部落常会、隣組を通じて、活字によらず、口から耳への非常時体制で行くわけで、発展的廃刊です。(後略)

戻る