66年ぶりの「戦地からのたより」

(NO5)<伊那村報を見て考える>連載31回

《 『光栄の孤立』そして必ず勝つのである 》

  伊那村報・第4号 昭和13年9月10日発行

    戦線からの便り☆萩原 清君より

(前略)  ご承知のごとく当地は、日支両軍数十万の激戦地、皇軍の果敢なる攻撃輝ける大捷の戦果を収め、今は見るも哀れな残骸を止めおり候(そうろう)。然れども、小兵与えられたる使命のもとに、万難を排し聖業の達成に力の限り努力いたす覚悟に御座候(ござそうろう)

 蒋介石はなおも長期抗戦をとなえ、ソ満国境の風雲急を告げるとき、銃後の皆様の変わらざるご指導とご鞭撻のほどをお願い申し上げ候。

 祖国 皇居を拝し奉り(たてまつり)、時節柄皆様のご健康をお祈り申し上げながら、乱筆ご挨拶に代える次第に御座候。銃後の皆様によろしくご伝言くだされたく候。

       7月29日  花見部隊  萩原 清    伊那村長  殿

    「光栄の孤立」一本立で戦う <主張>

武力戦で蒋介石政権と戦い、思想戦でソ連と戦い、経済戦で英仏と戦い、たたかい抜いて理想の東洋を建設する。端的にいえば、これが支那事変の真の姿である。

思想戦でドイツ、イタリア2国の味方があるほか、世界中どちらを向いても、我に加担するものは一国だってないばかりか、満州国や新興支那政府はいづれも、わが武力なり経済力なりの支援を必要とするのである。

こう考えてくると、外国などで、今に日本は経済的にまいるであろうと見るものもあるが、今日の日本は昔日の日本ではない。いや十数年前の日本でもない。土地も広くなっていれば、物も人も多くなっている。問題はこれを戦争目的の方向に向けうるかどうかにあるだけである。

次に根気に乏しい日本人は、事変が長引く場合に、はたしてどうなるかと懸念する人がある。これは国内にもあるようであるが、誤りもはなはだしいと思う。

さめ易い欠点も考えられるが、その反面日本人ほど強靭性に富んだ民族は他にないのである。前九年の役、応仁の乱などは、戦国時代に示した我らが祖先の耐久力を見よ。いかなる困難にぶつかろうが、いかに長期にわたろうが、一歩もしりぞかざるは、実に3000年来やしなって来た日本精神の真髄である。

思想戦よし、経済戦よし、武力戦よし、さらに長期建設戦あえて辞するものにあらず。

神明も我らの底力を御照覧あれ。日本は一本立ちで戦うのである。そして必ず勝つのである。

★ 兵事・徴兵検査合格者抽籤結果 ★

△甲種合格・○○○○ほか8名。

△第一乙 ・○○○○ほか4名。

    第二乙 ・○○○○ほか4名。

● 見よ!!銃後納税報国の完璧を ◎納期内完納実現

滞納の村は、闇夜の村である  完納の村は、夜明けの村である。

闇夜を打ち破るものは、太陽である。

滞納を打ち破るものは、村民の自覚である。

    編集余録

・ すべて村民の人柄(ひとがら)の良し悪しは、まずもって納税成績の良否によってほぼ推定される。さらに
    細別すれば耕地柄、部落柄も同様推定できると思われる。良い村柄!! それは明朗村建設への第一
    歩である。

 ・    支那事変下における我ら国民は、分に応じて国策に協力するの努力を傾けなければならぬ。

Aのコメント》

“ 世界中で孤立しても戦争に突き進む。国民は国策(戦争)に協力せよ。税金を滞納する人は悪い人柄”。・・・
  村民に連帯責任を持たせて戦争に協力させる。

     こんな世の中は、2度とごめんだ。

        次回予告・「生活も国策線にそえ。

戦線勇士の困苦欠乏を想い、多少の不自由は我慢せよ」

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