66年ぶりの「戦地からのたより」

(NO13)<伊那村報を見て考える>連載31回

《満州農業移民・大和民族の大陸移動、土の戦士よ行け新天地開拓》

  伊那村報・第12号 昭和14年5月10日発行

             満 州 農 業 移 民

本村上塩田、馬場謙君は雄々しくも満州農業移民を志望、5月5日、北佐久郡川辺村御牧ヶ原修練農場へ入所いたしました。

大和民族の大陸移動!  土の戦士よ、行け新天地開拓!

    戦線からの便り☆ 林 武夫 君より、

謹啓、渡支以来ご恵送にあずかる村報、慰問状ならびに慰問袋、且つ又留守宅までお世話様にあいなり、感謝のほかなくお礼の言葉もありません。

 中支戦線は春も半ば過ぎ、いよいよ初夏の候に移らんとしています。

 中支独特のマラリヤ蚊は早や飛び立ち、我々を悩まします。(中略)

 去年の8月頃と比べますれば、住民は陸続として帰り、警備地はにぎやかになってまいりました。

 一昨日まではうっとうしい雨が降りましたが、後はからりと朗らかに晴れて、夜毎に打ち出す銃声も激しく、緊張した気分が漲っています。

 本月○○日、我々部隊にて勇壮なる敵前渡河を敢行、敵の銃火器、地雷をものともせず上陸、破竹の勢いにて圧し、敵に殲滅的打撃をあたえて引き上げてまいりました。

 別途、小額でございますが銃後費の末端にお加えくださらば幸甚に存じます。

 乱筆ながらご一報まで、村内皆々様によろしくご伝言願いあげます。

       3月28日  中支陣中にて  林 武夫   銃後奉公会長殿

ニ伸  中支にて戦傷死された同級生村上文人君の英霊に対し、

 謹んで哀悼の意を表します。

 銃後奉公会設立

・軍事援護の重要性にかんがみ、既存の銃後後援会は改組統合。

金総動員!!金(きん)を政府へ売りましょう

<金を政府へ売るのも奉公の一つです。金指輪、時計の金側、金鎖、

   金貨など残らず、この際政府へ売りましょう>

編集余録

△新緑の5月▲

さわやかな五月!! 向上の月であり、発展の月である。あらゆる草木の芽がそろって伸びる。本当のめでたい月である。

木々にさえずる小鳥の快活さ、若葉にそそぐ日の光の美しさ、生命への讃歌が野に山に満ち満ちています。万物すべて新たなり、これ青春の五月である。まさに躍進日本の姿そのものである。


《Aのコメント》

 満州事変以来の中国侵略、いよいよ満州農業移民・・・行く末に、なにが待っていたのか。「銃後奉公会の設立」の目的は、“国民皆兵”、“兵役義務心の昂揚”、“兵役義務の準備”など・・・。会長は村長、副会長は村助役と小学校長と軍人分会長。・・・・・村あげての戦争遂行。

【戦没勇士の村葬】欄には、4月には上片桐村で1名、中沢村で2名

次回予告・

「ただ今の私は、早く卒業して、一人前の荒鷲として第一線に活躍したい」。

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