66年ぶりの「戦地からのたより」

(NO23)<伊那村報を見て考える>連載31回

      伊那村報・第22号 昭和15年3月10日発行

《 戦時節米報国運動・各家庭実践せよ!! 》

全村民協力一致!!◎節米・一割目標

    全国民の一大運動を展開し、戦時国民食料の安定を期せんとす。

○家庭における実施方法

各家庭においては、もれなく「共通実践項目」を実行するとともに、「選択実践項目」の中の一つは必ず実行すること。

  1、共通実践項目(必ずおこなうこと)

@        7分つき米、常用の徹底

A        完全咀嚼(そしゃく)の励行

B        無駄米の排除

洗い方を軽度にし、流出米を防止するとともに、残飯の処理に留意するなど、一粒の米も無駄にせぬこと。

  2、選択実践項目(いずれかを選び実践すること)

@    混食の励行(麦、その他雑穀、豆類、いも類、根菜類など最低1割)

A    代用食の励行(3日に1食は小麦粉、ソバ粉、その他の代用食を行う)

B    雑炊、かゆ食の励行(少なくとも一週に三食、行うこと)

<編集余録>

 節米や 今こそ主婦の 御奉公

   節米運動の根底は、尊米こめ、敬米こめの精神である。拝んでご飯をいただく心持がなくては、節米の実はあがらない。何としても農本国としての日本を再認識して、尊農思想を深めなければならぬ。特に都市の人々に対して、敬米運動とともに尊農思想を鼓吹(こすい)する必要を痛感する。

   戦線からの便り☆ 馬場五郎 君より、

謹啓、 意外のご無沙汰のみにて失礼のほど、平にご容赦ください。

 上陸以来、軍務多忙に追われ、郷土の新聞なども入手いたさず、一番知りたい郷土の便りを、時折受ける嬉しさご想像ください。

 昨冬、○○より南支方面に移動、直ちに休養もなく○○線を、残敵をけちらしつつ北上、軍の要求する任務を無事遺憾なく発揮遂行いたしました。

 このへんは、敗残兵にあらず、有名な余漢謀の配下の新鋭なる部隊で、相当頑強に抵抗いたしましたが、空陸一致協力の猛攻に堪えかね、日一日と影を没しました。いはゆる「予定の退却」にあらず、正式の退却をいたしました。

 我々の任務も敵の悲惨なまでに破壊せる○○を昼夜兼行、不眠不休で続行いたしました。この戦闘で犠牲となりし戦友諸氏に対しては感慨無量です。

 ○○市より百キロの○○付近にて、2600年の新春を迎えました。その功により新年早々、我が部隊は軍人の最も栄誉ある感状を下付せられました。

 目下は○○にあり、しばし待機の姿勢にあります。

 いつもご無沙汰いたしていたしておりますが、これも東洋平和のため、元気で活躍している賜物と解しご容赦下さい。

 最後に皆々様の益々ご健康ならんことをお祈りいたします。

       2月8日着信  南支青村部隊  馬場五郎  銃後奉公会御中

 《Aのコメント》

 終戦後の小学生のころ、サツマイモを入れたご飯をよくたべた。すいとんも、豆ご飯も、麦ごはんも食べた。今それらは高級健康食だ。支那事変で中国への侵略戦争をおしすすめながら、“戦時節米報国運動”を全国民の一大運動として展開。国民は犠牲を強いられているが、誰が良い思いをしているのだろうか?。村報では何もわからない。

次回予告・「英霊!!御遺骨、故山に姿なき凱旋」

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