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興味深い話題



四方山話 住宅解体



四方山話

第一話 お寺薪 (おてらまき) 第五話 黄砂と風力発電
第二話 ケヤキの薪 第六話 木の校舎
第三話 吸っている空気 第七話 ホルムアルデヒドと発ガン性
第四話 草ニゴと里山
第一話 お寺薪 (おてらまき)

 お寺薪とはクリの薪のことです。

そう遠くない昔の話。
檀家がお寺に寄進する薪は、自家用では使いにくい「燃えにくい薪=クリ」を持っていきました。寺では薪の特性など知りませんから、ありがたく頂戴していたそうです。
檀家の人々は、そんな和尚を、影で笑っていたそうです。

では、なぜ「クリの薪」は使いにくい(燃えにくい)のでしょうか?
答えの前に、すこし余談を、

 クリの火でなければ、できない作業があります。 刀を鍛えるときに使う「火」です。刀鍛冶は、クリの炭を使います。 クリの炭は、ふいごで風を送った分だけ火力が増します。反対にふいごを止めると火力は衰えます。 クリの炭は、大変に調整しやすいのだそうです。

 刀鍛冶が、クリの炭を使う理由と、クリの薪が使いにくい理由の関係は分かりましたか。
クリは薪の状態でも燃焼には、たっぷりの空気と、周囲の高温が必要です。
クリは孤独で、クールなので、燃え上がるためには、多くの仲間と周りの熱気が不可欠です。

 薪ストーブを使っている方、燃えにくい木だなと思ったら、その木はクリかもしれません。


第二話 ケヤキの薪

 高級な木材というイメージのあるケヤキ(実際に高価)ですが、焚き物にするには注意が要ります。

 真偽は定かではありませんが、むかしの農家では、囲炉裏で燃やす薪に注意を払っていたそうです。
・爆ぜる木は囲炉裏端が焦げるので使わない。
・燃え上がらせないために放射状に薪を置いて先のほうから少しずつ燃やす
などなど。

 そして、本題のケヤキは薪にしないのだそうです。

 それはなぜかって? 実は、「眼がつぶれる」!。
たしかに、薪ストーブで燃やすときでも、特有の匂いがしますね。
でも、実際に眼がつぶれた人の話は聞きませんが・・・・・。
実は、ケヤキは薪にしにくい木です。
乾いたケヤキは、薪割りができないといっていいほどに「硬い」
その名もズバリ、「マキ」という名のナラの木は、斧(よき)で割ると竹のように割れるが、ケヤキは割れ目の方向と木の繊維が交差していて、ちょっとやそっとでは割れません。
たとえて言えば、セロテープを縞模様に貼り付けた新聞紙を破くような感じです。

  わかるかな?


第三話 吸っている空気
  6月14日付の読売新聞によると
 「立っている人間の周辺には、体の熱による上昇気流が発生しており、頭の上では毎秒二十aとなかなか早い。図は東大生産技術研究所がその流れをコンピューター解析した結果で、人が吸う空気の約70%は、足元から昇ってきたものであることが判明した。
 シックハウスの原因となる化学物質は床材やカーペットなど足元に多いから、壁材や壁紙など、顔の高さの建材を変えただけでは対策にならないことになる。」, という記事が掲載されていた。

さらに、
 「気流は局所的で体の前方、表面近くの空気ほど吸いやすい。『自分のおならは臭くない』というのも、これで納得がいく。」、と締めくくられていた。
  食事をしているときやリビングでくつろいでいる時、足元から昇ってきた気流は、テーブルや椅子の裏面に当たって、そこに使われている建材が発する物質を取り込んで口元に昇ってくる。
 市販の家具は表の見栄えが大事。裏面は見えないから合板を使用しているものがほとんどです。健康のことを考えたら、裏面にも気配りしてあるものを選びましょう。


第四話 草ニゴと里山
 「木」に関心がある方なら、里山が荒廃している現状をご存知でしょう。では、里山が荒廃した原因は何だったのでしょうか。里山を利用しなくなったからだといわれますが、実は、直接の原因になったものがあります。ほとんどの農家が所有している「トラクター」が里山を崩壊に導いたのです。勘の良い方はピン!ときたでしょうが、「トラクター」と里山の関係についてお話しましょう。

 先日、「木挽き」の親方から依頼されて、仕事で草刈に行き、刈り取った草を集めているときに、近所のお爺さんが通りかかり声をかけてきました。そのお爺さんが言うには、

「一昔前までは刈り取った草は貴重品だった」。
「昔は、十月十日になるまでは草を刈り取らずに伸ばして、伸びきったところでいっせいに刈り取った。」
「刈り取った草は『草ニゴ』にして冬の間の牛の餌にしたもんだ。」・・・・?「草ニゴって何ですか」
「草ニゴってのは、こうやって草を束ねて立てたものを積み重ねて置いたもんだ。」
 と、刈り取った草を手にしたかと思うと、鮮やかな手さばきで縛って草の束を作って見せてくれた。
「今は牛も居らんで、草にごも要らなくなった。」
「このあたりの山は、今のようにこんなに木が生えとらんで、ワラビが取れるほどの草っ原だった。」
 要するに、この地の里山は「木」はポツンポツンとしか生えていなかった。
 さらに、下草は家畜、特に「牛」の餌として欠かせないものだったのだそうです。その時ポツリと、
「草を刈らんようになったのは、トラクターを使うようになってからだ。」
「そんでもって、昭和四十五年から減反が始まって使わん田んぼが増えて、
草も要らんようになって「草ニゴ」も作らんようになった。」
「それからよ、山に木が生え初めたのは。」

 「草ニゴ」と「トラクター」の関係、わかりましたか?
農耕の動力が、「牛」から「トラクター」に変わったがために草を刈り取らなくなり、その結果、里山が「木」であふれ今日の荒廃を招く原因となったのです。
 里山の保全が全国各地で叫ばれていますが、里山を取り巻く農耕社会が崩壊している現在では、そのあるべき姿を追い求めるのは大変なことなのです。


第五話 黄砂と風力発電
 中国から日本に飛来する砂塵「黄砂」が、今年四月には米国に飛来しロッキー山脈のふもとの丘陵地帯は砂塵でかすんだようだ。米国では黄砂のことを「ダストストーム」というが、このカナダからアリゾナにいたる一帯を覆った砂塵の層は、典型的な報道によれば過去三年間の中国の干ばつが原因だという。だが干ばつは、急速に悪化しつつある中国の「砂漠化」に脚光を浴びせたに過ぎない。
 十三億人の人口を食べさせるのに必要な食料の生産のために、中国北西部では過剰な耕地と牧畜を抱えている上に、開墾が急速に進み『風』による侵食に拍車がかかったのです。中国では牛肉の人気が高まり一億三千万頭の牛が飼われており、これに二億八千万匹のヤギと羊が加わり、牧草地の急速な劣化と砂漠化が起き、砂丘が形成されている。
 さらに、地下水の過剰なくみ上げによる枯渇と降雨量の減少によって、中国北部は文字通り干上がりかけ、すでに過去三十年間で数千の湖沼が消滅した。東部や南部で進む森林伐採が、海洋から運ばれる湿気の減少を招いていると指摘されている。森林によって保たれていた降雨サイクルが破壊されたことにより、「雨」が内陸部をす素通りしてしまうのだ。
 砂漠化の抑制と降雨サイクルを助けるために、侵食されやすい耕地を草地や森林に転換し、家畜の数を減らし、耕地が風にさらされているところでは防風林を張り巡らす必要がある。しかし、エネルギー源としての樹木の需要を抑えないと森林の再生は難しい。
 そこで、風力タービンを使った風力発電が効果をあらわす。防風林として耕地の侵食を防ぎ、電気エネルギーの供給により樹木の伐採を抑制する。経済効果も魅力的だ。貧しい農村部が、現在のような永続不可能な牧畜や農耕をやめるきっかけとなる。
 「木」をどう生かすかで、巨大国家の存亡までも左右する。「木」は地上の生命にとって極めて大きな存在であるということの証明だろう。

※一部にH13年7月2日付読売新聞を引用



第六話 木の校舎
木造の校舎が見直されてきている。
平成13年度に建てられた木の学校施設は全国で133校に登り、5年前の58校から倍増した。
木造校舎の効能は顕著に現れているようで、木造校舎小学校の校長は、
 「木の床は脚にやさしく、倒れた時はクッションにもなる。おかげで大きなけががなくなりました」と述べている。
 埼玉県内の小学校では内装を木造に変更したところ、インフルエンザにかかった児童が15人と、二年前の115人から激減している。
学童へのアンケートでも、「教室内の冬の寒さが弱くなった」「安心して寝転がって遊べる」「せきが出なくなった」などの声が寄せられている。
 また、驚いたことに不登校の子どもが、一人もいなくなった!ということだ。

 この現象を裏付けるデータがある。
日本住宅・木材技術センターの1994年の調査報告書によると、千人あたりの不登校児の割合は、コンクリート校舎が2.9人、木造校舎は1.6人。
インフルエンザによる学級閉鎖率もコンクリートの5.8%に対し、木造は2.7%と、大きな開きがあった。
 さらに、児童のみならず教師に与える影響も大きく、めまいや肩こりなどの疲労感を訴える教師は、コンクリートが22%に対し、木造は14%にとどまっている。

 木造校舎の設計を多く手がけている安藤邦弘・筑波大学教授(建築学)によると、
「木の再評価は15年程前から始まっており、ストレスの多い時代に安らぎや癒しの効果が注目されていることが背景にある。また、コンクリートの校舎は温度や湿度を人工的に制御するが、木造は木が空気中の水分を吸収、放出して湿度調整してくれる。健康を考えると、成長期にある子どもには木造校舎のほうがふさわしいと思う」と述べられている。

 もちろん木造だから何でも良いわけではなく、効果が出ている校舎は化学系の塗料は使っていない『無垢の白木』だそうだ。

※一部にH14年11月18日付読売新聞を引用



第七話 ホルムアルデヒドと発ガン性
 住宅建材の接着剤や塗料に使われている『ホルムアルデヒド』の発がん性が認定された。
 中央環境審議会の化学物質評価専門委員会は新築住宅でせきや眼痛を起こす「シックハウス症候群」の原因物質とされる「ホルムアルデヒド」が、身近な生活の中で発ガン作用をもつ危険性(リスク)が高いと判断。詳しい評価をはじめることを決めた。
 有害性が確定した段階で、環境基準の新設や排出企業へ徹底管理を要請するなどの対策に乗り出す。

 ホルムアルデヒドは市販の家具に多用されている。このため「低ホルムアルデヒド」などと消費者の追及をかわす商品が出回り始めている。
しかし、「低」とは現在ある基準に対して相対的に低いだけのことで、健康に害がないと確信されているわけではない。
基準はいつの世でも徐々に下がるものなので現状の低レベルが将来危険性が高いと判断されることは疑う余地が無いだろう。

 身近で使う家具にはホルムアルデヒドを含む接着剤が使われている「集成材」や「化粧板」などは避けたい。
塗装もホルムアルデヒドを含まない自然塗料を選びたい。
特に学習机を選ぶときには、子どもの健康に配慮した家具選びをして欲しい。

※一部にH15年1月22日付読売新聞を引用



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住宅解体材の行方


ハウスメーカーでは、既存の住宅を解体して新築を勧めているが、解体される住宅の中には「古民家」と称され、価値を再認識されている物も少なくない。
ハウスメーカー各社に、住宅解体における意識を問い合わせてみたので、その結果を公開します。


積水ハウス 2002/5/14
このたびはホームページをご覧いただきありがとうございます。
さて、お問い合わせの件ですが、現在、解体現場における発生木材(梁、柱、等)は全体の44.5%がチップまたはおが粉としてマテリアルリサイクルしております。
残り55.5%の木材につきましては認可を受けた処理工場で焼却し、マニュフェスト伝票を基に管理しております。
建設リサイクル法の施行をふまえ、さらにリサイクル率の向上を目指しています。
(建設リサイクル法では解体木材のリサイクル率の目標は平成22年までに95%となっています。
解体木材のリユースに関しましては現在のところ再利用に適した解体木材が少なく又、解体木材の需要も少なく利用しておりません。
現在のところはリサイクル技術開発、リサイクルルート拡大を中心とし、リサイクル率の向上が取り組みの重点となっております。
大和ハウス工業 2002/6/10
解体で生じる木質廃材のリユースについて、現在弊社では具体的な体制を構築するに至っておりません。
弊社のような工業化住宅では解体廃材(柱、梁など)のリユース用途があまり見いだ せないこと、弊社向け用途のみでなくリユースを考えることも可能ですが、リユース体制を整え、実施するに十分なリユース適材が出ていないこと、などが理由です。
しかし、お客様によっては、「建て替えはしたいが、古家の材木を廃棄するのはもっ たいない、何とか活かせないか」という要望をお持ちの方もいらっしゃると考えています。
そのような場合は古い木材のリユースを目的に設立された団体と連携して解体材を活 かす方法を考えたいと思っています。
(現実にはあまりそのような要望がないのですが)牧野様のHPが公開されると、古家の木材を有効活用したいという一般の方のよい羅針盤ともなると期待しております。
ナショナル住宅産業 2002/6/11
現在、弊社では、解体現場における木材に関しては、建設資材リサイクル法に基づき、適正な解体業者を手配し、分別解体並びにリサイクル化を推進しております。
しかしながら、解体業界では、
(1)リユースを可能にするだけの解体技術やルートを保有している解体業者がまだ少ないこと、
(2)リユースを行う価値のある木材を有している物件が少ないこと、
(3)解体コストの増加を容認してまでリユースしたいとおっしゃるお客様が少ないこと、
などの理由により、リユースに関し、十分な推進がなされていないのが実態です。
このような実態を鑑み、弊社では、住宅メーカーとして解体業界と連携をとりながら、リユース体制の構築を行っていくことを今後の課題として考えております。
三井ハウス 2002/6/11
当社の解体現場から平成13年に発生した木くず(発生木材)は、約970tと推計しています。(木くずを混合廃棄したものは除きます) 当社の指定処理ルートは、廃掃法の許可を受けた中間処理場でのチップをはじめとするリサイクルが中心です。 但し、木くずでもベニヤや混合したものは焼却処分せざるを得ないようです。(チップにしても売れないから) これにより、リサイクル率は概ね60〜70%と想定しています。 解体木材の再利用については、現状では全く行っていません。理由は、古材を使用するような要望が無いこともありますが、解体木材はプレカットが事実上不可能であること、仮に可能だとしてもコスト見通しが立たないこと、注文者自身が古材使用を嫌う・・・からと思われます。私自身過去に一度だけ床材を再利用した経験がありますが、これとても解体材のほんの一部分でした。 強度がある古材は場所によっては十分使用できる可能性があると思いますが、障害となるのはコストと使用する側と薦める側の意識でしょう。古いものを大切にしようという意識だけでは使用する動機にはなりにくいと思います。 結局、現在のところ、構造材を再利用する体制には無いといわざるをえません。
ミサワホーム 2002/6/13
ミサワホームの住宅は、木質芯材に合板等の面材を接着した木質パネル接着工法で、木材を大量に使用している点から、木材資源については調達、廃棄、リサイクルについて様々な検討を行っています。
当社が関係する木質系住宅の解体工事については、以下の2種類があります。
@ 木造軸組工法の建物を解体し、ミサワホームを新築する。
A ミサワホームの建物を解体して、ミサワホームを新築する。
@、Aいずれも本年5月より施行された建設リサイクル法に基づき、できる限り木材を分別解体し、中間処理業者に処理委託しています。
@の場合は、柱、梁材が比較的そのままの形で排出されますので、リユースが可能な場合もありますが、実態としてリユース専門業者も無く、当社のパネルにも使用できないため、パーティクルボード用原料としてチップ化されているのが現状です。
Aは、パネル構造の特徴である、接着工法のためパネル自体のリユースは不可能です。現場である程度破砕され、やはりパーティクルボード等にリサイクルされています。
以上のように、木質廃材を部材としてリユースするには、安定供給の確保、品質、コスト、物流面等で解決しなければならない課題が多いのが現状です。
木質廃材のリユースの推進については、住宅メーカーだけでなく、木質廃材を取り巻く様々な環境を整備していく必要があると考えます。
例えば住宅メーカー、解体業者、製材業者(木材問屋)等との広範囲なネットワークを構築し「木質廃材のリユース市場」を形成する等が必要と考えています。
住友林業 2002/6/17
解体木材のリユースについて検討しておりますが、昭和40〜50年頃に建築された家屋が解体の対象になっており、再利用に適した解体木材が少なく、需要もあまりないことから、リフォーム部門で一部利用されている以外は利用されていません。
現在、解体現場で発生する木屑は60%がチップとしてリサイクルされ、残りの40%は許可を得た中間処理場で焼却処分されています。
リサイクルは、チップの受皿を確保することがポイントとなりますので、リサイクルの受皿としてのチップ利用メーカーの確保に取り組んで中間処理業者を支援、グリーン調達にも取り組んでいます。また、新しいリサイクル技術の開発、用途開発等々により、2005年に95%(国の目標より5年早い)のリサイクル率達成を目標に取り組んでいます。
質問に対して回答しなかったメーカー
旭化成ホームズ エス・バイ・エル 住友不動産ホーム
日本電建 ローヤルハウス


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