(TVチャンピオン リフォーム家具職人選手権)
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TV東京 TVチャンピオン リフォーム家具職人選手権 参加概要
【番組の内容は→TV東京 リフォーム家具職人選手権】
放送日 |
TV東京 平成15年4月17日(木) |
長野放送 平成15年5月3日(土) |
番組に参加した理由 |
以前から取り組んでいる「廃棄される運命の木材・木製品」の再活用のPRに役立つと思い参加しました。 番組の企画会社から出場の依頼があった際に、私が番組に出て廃材を甦らせる場面をお見せできれば、 多くの廃棄されそうな家具の運命を少しでも変えることができるのではないかと考えました。 必要ないと思い込まれている古い家具や建具・建材はどんどん廃棄されています。これらは使えないのではなく、持ち主が使い方を知らないだけです。 視聴率の高い「TVチャンピオン」において自分の力を発揮することで、「ゴミ」と見誤れている素材に新たな視点が注がれる機会が増えることを願っています。 |
予選に掛ける思い |
![]() 一つは、題材となる家具の一部を面影を残すために新しく作る家具の一部に使用する場合です。家具を作るほとんどの材料は新しい物となります。 もう一つは、題材となる家具の素材を可能な限り再利用して「再生」する場合です。 元の家具の部材だけで新たな家具を生み出す自由な発想を要求される難しいリフォームとなります。 予選では後者の取り組みを適用しました。 持ち主の思いを受け止め、それを如何にして具現化するか。焦点はこれに絞られていました。 製作時間は10時間。アシスタントを含めて二人で作業。 |
決勝に掛ける思い |
![]() 使用する家具の原形をとどめることはもちろん、その存在を生かして個性あふれる家具に作り変え、またそれぞれが調和を持つように配慮しました。 単に家具に作り変えるだけではなく、リフォーム家具だからこそ成し得る「空間」の創作を目指しました。 題材とする素材も「江戸から平成」までの各時代に使われていた物を選択しました。 また、出来上がった空間には、永年使われてきたそれぞれの素材の長所が醸し出す風合いを活かし、日本人の感性に訴えることを目指しました。 番組放映上の結果は別として、作品の出来栄えには満足できました。 作品は大手家具商社の新規店舗に非売品で展示保存していただけることになりました。 製作時間は12時間×2日の計24時間。予選と同じくアシスタントを含めて二名で作業。 |
ひとり言です。 |
勝負に勝って試合に負けた。 『オークションは一人のバイヤーに高評価を得ても価格に反映されないだよな〜。』 オークションは競合相手がいないと競りあがらない。 収録後のコメントで他の業者は「もう少し出すつもりでしたが諦めました」と、番組の趣旨を理解していなかったことがわかります。 30万円で値が止まったときには「そんな安く買えるなら自分が仕入れたい」と思っていました。 だからと言って30万円で競り合っているときにいきなり55万円の値を付けてくれとも言えないし・・・。 55万円を投じる予定だった作品を30万円で落札した「山新さん」はとってもお買い得でした。 ちなみにチャンピオンの作品の落札額は42万円です。 落札していただいた山新の店長さんが言うには、「これだけの物を扱える業者が今回は来ていなかったですね」だそうです。 山新さんはインテリアコーディネーターを同伴されて、家具を単品として見るのではなくインテリア空間を演出するトータルな価値観で判断されたようです。 そのお陰で、私が意図した「なごみの空間」を理解してもらえましたので、今後の展開が楽しみとなりました。 オークション落札額と業者評価額が逆転してしまったので、最高評価額の作品の作者が優勝ということではなくなりました。 結果は優勝ではありませんでしたが、出来上がった作品は最高の評価をいただいていたので満足しています。 (負け惜しみで言っているのではないので、誤解しないように願います) |
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TV東京 TVチャンピオン 結果発表
決勝進出者 | オークション落札額 | 落札業者評価額 (入札予算額) |
南氏(優勝者) | 42万円 | 40万円 |
くさ島氏 | 31万円 | 30万円 |
牧野 | 30万円 | 55万円※ |
決勝作品 |
トラック10トン分の廃棄処分家具・建具・廃材の山。 この中から「☆キラリ」と光る家具・建具を見つけ出し、オシャレな店舗で実用される家具を作りあげる。 持ち込んだ板材と組み合わせて「和」の空間を演出できる素材を探し出す。 選手間で欲しがる家具が同じ時は「ジャンケン」。 三つの家具で競合したが、すべてジャンケンで勝利して全部獲得。 |
作品全体 |
ケヤキの座卓を天板と足に分離し、天板の位置を高くするためにフラッシュ家具の胴を利用して繋いだ作品。 廃棄処分されていたサワラの板を利用して天板を1600×1400と大型に改造。 足は視覚的なバランスから元の枠を切り詰めて正方形に改造した。これにより足元に十分な空間を確保して開放感が得られている。 |
リフォーム前の画像に写っているベッドを構成していた薄い板を寄せ集めて「蒸篭(せいろ)」をイメージした枠を製作し、三段に積み重ねて長椅子の足に利用した。 天板は杉板を焼いて渋い黒色に仕上げ全体の配色に落ち着きを与えている。 着色とは異なり、焼くことによって木の表面の微妙な組成の違いが、光の当たり方によってさまざまな表情を生み出す。 |
一見何の変哲も無い椅子に見えるが、リフォーム前は丸棒で構成された物であった。 丸みが特徴だった物を「和」に適合するように『角』で構成される椅子に加工したもの。 丸棒をすべて削って角棒にし、曲線は直線に修正した労作。 |
江戸期に建てられた土蔵で使われていた蔵戸を長椅子の背に配した作品。 上記の衝立の板戸を開けて家具の置かれた空間に入ったときに真正面に配置されることを意図して作った物。 上部の千本格子はインテリアとしての利用価値が高く、背面に間接照明でさまざまな演出が考えられる。 ベンチに座った時に背中に感じる二百年の歳月が、座る者をしっとりと包み込むことだろう。 |
自己評価 「おしゃれな家具」がテーマとして課せられたのですが、和家具の持つ「風雅」をおしゃれと感じてくれるかどうかがが難しいところです。 和家具が活きるために必要な「自然の光」が差し込まない、人工的で天井の無い空間での審査では、和家具の持つ「肌合い」が認識しにくいと思いました。 ・審査の会場が、今回作り上げた家具の長所である「侘び・寂び」と縁遠い空間であるとも知らず、「オシャレとくればみんな洋家具に行くでしょうから、 私は和家具にしましょう」と一人だけ違う物ジャンルに挑戦してしまった。 ・実際の審査の際には展示台が小さすぎて半分しか置けず、私の作品だけは床へ直接置かれてしまった。 ・お店に置く家具ということで、「モダンなインテリア家具」を欲しがるバイヤーが多く集められた。 ・運送を担当した業者が障子紙を破ってしまった などと、悪条件が揃いすぎていたので、作品に見合わない評価となったことは仕方がない。 自己の推定落札価格は60万円程度と考えていたので、山新さんの評価は妥当なものと思えた。 |
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予選作品
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![]() 30年ほど前に依頼主が女手一つで息子さんを育てていた時に、父親がプレゼントしてくれた机である。 父親→依頼主→息子と親子三代の思い出が込められた形見家具である。 もう一つは長年「踏み台」と勘違いされて使われていた『オルガン椅子』。天板が斜めになって踏み台としては使い難いと思われていたが、 実はオルガンを演奏する際に都合が良い角度に座面が傾斜した椅子でした。 |
![]() ![]() いつでも身近において利用でき、使うことで父親の思い出に浸ることができることを意図して製作した。 今回、番組に参加して是非とも取り組みたかったテーマであり、全力を尽くして作り上げた。依頼主の思いをまともに受け止めすぎて、 出来上がってから目頭が熱くなるのを押さえられなくなってしまったほど・・・。 |
![]() 新たな材料を一切加えずに形見家具の部材だけで作った。 最も広い面積を要求される座面は、引き出しの側板8枚を接ぎ合わせた。 父親の使っていたオルガン椅子に背を支えられ、机の天板から切り出したアーム(手置き)に触れるとき、目を閉じれば、いつでも昔の思い出に浸れる。 見せ掛けだけのロッキングチェアーではなく、自分の意思に素直に椅子が反応し、あたかも体の一部分になったと思わせる一体感を得られるように、 依頼主の体型に合わせて特別に設計した物。 机の面影を視覚ではなく感覚で思い起こさせる「思いに触れる道具」として作り上げた。 |
![]() ![]() 脇机を一回り小さく加工して天地を逆にし、やはり小さく加工した天板を載せた物。 天板の周囲はもとの部材を丁寧に切り取って再度貼り付けることにより、あたかも「縮小」したのではないかと錯覚させる。 天板下の引き出しは依頼主の要望に沿って内面が鏡張りの「宝石箱」。 背面に取り付けた引き出しの前板は、それぞれが扉として前開きに開き小テーブルとなり、 内部には節目節目の写真が貼られてその時代の思い出に耽りながら父親の愛用した杯でお酒でも飲んでいただきたいと考えた。 机の面影を色濃く残し、親子三代の思いが込められた家具の姿を末永く伝える役目をもたせた。 |
自己評価 今回手がけた作品の中では、このロッキングチェアーは特別なものとなった。 素材となった机には依頼主の深い思いが込められて、リフォームする価値が最も高い家具だったからである。 これは家具としての価格が高いか低いかということとは関係なく、家具の持つ「文化」の問題だと思う。歴史と言っても良いかもしれない。 素材は「パーティクルボードとフラッシュ」であり、製作された当時としては斬新な素材であったかもしれないが、リフォーム素材としては非常に扱いにくい。 一般的な椅子を作るとしたら強度の点から見て困難であったと思う。 そこで、座るときの荷重が局所に集中しないロッキングチェアーの特徴を利用した。 もちろん、依頼主が座ったときの情景を思い描いた時にロッキングすることの重要性も加味した。 作品は依頼主の思いをほとんど形にすることができたのではないかと思っている。 また、多くの視聴者に少なからず感動を与えることができたのではないかと思う。 感動を与えることができる家具を作ることは、作り手としては至福の喜びであり常に求め続けているテーマでもある。 今回、番組制作会社から出場の依頼が来たことでこの作品を手がけることができた。 自己の評価を見直すにふさわしい作品となったと思う。 |
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番組収録エピソード!
2003年3月3日 初っ端から大波乱。 収録中止!!! | |||
明日からの収録開始のために前乗りしたが、事故渋滞のために6時間もかかってしまった。 やっとホテルに到着してチェックインすると、フロントマンが言うには、 「お泊りは一日となりました」??? 一週間滞在するはずだと思いながらも『明日は別の場所に泊まるのかな』と一人合点していた。 電話をしてくれとのメモがあったので、番組ディレクターに電話を入れると、 「結果から先に申し上げると、明日の収録はなくなりました。 出場者の○○さんが緊急入院したのでスケジュールを作り直さなければならなくなりました。 後ほど他の出場者を交えて相談します。」 このようなことはTVチャンピオンの放送開始以来はじめてのことで、関係者は大慌て。 結局その夜の打合せで、一週間遅れで収録を開始することに「仮決定」して、ホテルに一泊することになった。 明日は一時帰宅のために自宅へ直行・・・。 移動時間を含めて、丸二日が無駄になってしまった。 |
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2003年3月10日 ロケ収録 お宅訪問 | |||
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出場者、スタッフ、タレントなど総勢13人を乗せてロケバスは茨木県の依頼者宅へ向かった。 | ディレクターから収録に関する注意事項の説明を受ける。 | 黙々と機材の準備に励む撮影担当スタッフ。 | 収録開始。田園風景を背に依頼者宅へ向かう雰囲気を作り出す。 |
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二軒目の依頼主は埼玉県春日部市。ガラッと変わって住宅密集地にある。 | 依頼主と出場者で題材となる家具の由縁などを話す。 | お蔵入り家具とのご対面 | 家具の搬出もすべて一緒に収録する強行ロケ。 |
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四軒目の神奈川県の依頼主が私の担当。足が欠けて傾いた学習机がリフォーム対象家具。 | さらに、長年踏み台と勘違いされていた「オルガン演奏用の椅子」も加えることにする。 | 形見家具対決なので形見の写真を探してもらう。 | 小道具として利用できるものを探したところ金銀銅のさまざまな杯が出てきた。 |
2003年3月11日 作業準備日 資材調達 | |||
明日の競技に備えて必要となる資材を買出しに行く日。 ところが、昨日の寒さとロケバス内の劣悪な空気環境により、38度を越える発熱と喉をやられてしまった。 喉を痛めている者が同乗していても遠慮無しに煙草を吸う「人間性を疑う」出場者のせいだ。 こんな輩に『心を込めた形見家具』など作れるわけが無いと思うのだが・・・。 ちなみに、タレントさんや撮影スタッフなどは停車時に車外で吸ったり窓を開けて煙を外に出すなど『当たり前のマナー』を心がけていました。 |
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2003年3月12日 製作作業日 リフォーム開始 | |||
つづきますが・・・。 |
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ロケ弁当紹介