☆☆休耕地復元記☆☆


我が家の下に棚田が有り眺めが大変によい所ですが、残念なことがあります。それは棚田の一部が放棄農地化されていることです。そこは、上部の田んぼに水が張られても耕されることもなく、周りが田植えが済んで緑の絨毯を敷き詰めたように成っても荒れ地のままです。真夏に周囲が緑に覆われているのに、除草剤散布により突然茶褐色に変わってしまったりして、美しい光景に汚点を付加するものと成っています。
元来景色や日照などの環境はみんなのものであり、個人の都合で大きく損なうことは罪悪であると思います。とは云っても実際的に現状を維持することは非常に難しいことです。

それならば、地主に変わって管理維持して見ようと考えました。
地主とは全く面識がないので、ご近所の方を通して休耕地の一部をお借りしたいと地主に頼みました。すぐには返事を貰えませんでしたが、1月半ほど後にOKの返事が貰えました。
休耕地の広さは50アール(5反歩)以上あります。田んぼだけでも40アールくらいの広さです。農家でもないのにそんなに広い所に何を作ったらよいのか思案しました。
ふと思い付いたのが、以前訪ねたことがある福島市の花見山公園です。あそこは、花木栽培農家が栽培地に少し手を加え一般に公開したもののようで、小さな谷間の集落の周りに桜、れんぎょうなど沢山の花が咲き乱れていていました。

農作物を作っても農家ではないし、転居して間もないので販路も知りません。それならば花を植えて自分で楽しみ、近くの方々にも楽しんでもらおう。
お借りした田んぼの大半は10年近く耕されていません。除草剤を播いていたのでススキやチガヤはなく、一年草の雑草がびっしり生えていました。一部はスギナが密生していました。人力ではとても耕せない広さですが、幸いなことに地主の方からとてつもなく古い単気筒のディゼルエンジンで動く耕耘機をお借りする事が出来、すべての休耕田を耕すことができました。

花を植えると云っても庭の花壇に植えるのとは大違いです。量がとてつもなく多いことです。苗を買って来るのは数が多いので高価となり、種を買って播くにしてもお小遣いの範囲を超えてしまいます。
ところが、ありがたいことに、休耕田に花を植えると云うことが伝わると、ご近所の方々は「これ植えな」と云っては苗を持ってきてくれました。中には「一輪車持って取りにお出で」とか「軽トラを持って取りにお出で」とか声を掛けてくれて、苗や球根を譲り受け、予定していた面積の半分ほどに植え付けることができました。
苗を貰ったことで、地元の方々の素朴な暖かい心を身をもって感じ取りました。また、新入りに何かを期待しているように思えました。

まだまだ植える場所があるので苗作りすることにしました。その中でうまく行ったのはルドベキヤとラベンダーと孔雀アスターです。ルドベキヤは種を播いて育て100株ばかり田んぼの畦沿いに植えました。ラベンダーは親戚から枝をもらい挿し木して育て300株ほどを植えました。孔雀アスターは株を戴き根分けして苗を育て200株ほど植え、秋にはきれいに咲いてくれました。
まだ空いている田んぼがあるので「赤そばでも播こうか」と話していると、近所の方が「うちの実家で穫れたものだけどどうぞ」と行ってバケツ一杯ほどの種を持ってきてくれました。どうやって播くのか解らないのでご近所の方に教えてもらい、ばらまいて耕耘機でかき回して置いたらうまく芽が出ました。収穫が楽しみです。

すべてがうまく行った訳ではありません。コスモスとヒマワリはうまく芽が出なかったりヨトウに食われたりして思った通りには成りませんでした。

夏の草取りと草刈は大変です。秋には、半分近くが草畑になってしまいました。
毎日が日曜日(休日)の生活ですが、こんなことをしていて遊んでいてよいものかと思うこともあります。この1年間やって来たことが、何かに役だったのであろうか。

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