☆☆ハクビシン捕獲☆☆
以前からハクビシンがいることは知っていた。この動物はお百姓さんにとっては害獣である。夜行性で、家の
近くで車のヘッドライトの明りで道を横切るのを見たことがある。畑の土手にあるビワの実が無くなるのも、
庭先の赤く熟れたラズベリーの実がすべて無くなったのもハクビシンの仕業である。
それが白昼捕り物劇を演じることになった。
まだ梅雨が明けず降り続く雨に、物置にしている車庫の中で購入した噴霧器を組み立て、じっとして取扱
説明書を読んで居たら足元に猫らしきものが近寄って来た。時々何処からともなく現れては飼い猫たちと喧嘩を
する野良猫と思い蹴飛ばしてやった。ワールドカップのスーパープレーを見ていた勢かキックは見事に獣の胸に
命中し、獣は柱まで吹っ飛んで着地し奥の物陰に逃げ込んだ。その時獣の顔がちらっと見えた。アレッ、
こいつは猫ではない、ハクビシンだ。こらしめてやろうとっさに考え、入り口のシャッターを閉めた。
捕まえるのは一人では無理なので居候の虫屋さんにハクビシンを戸締めしたことを告げ応援を求めた。捕獲には
捕虫網と追い出し用の棒を用意しシャッター開けた。物置の中は物音一つせず静まり返っていた。
物置の前に捕獲係りの居候を待機させ、物置の奥を棒で突っついて見た。ガサガッさと音がして何か居る気配が
する。あっちこっちを突っついてみた。どうやら隅の冬用タイヤの陰に潜んで居るらしい。
周りのダンボール箱を叩いたり空き缶を叩いて脅して見た。しかし、応答はない。壁の鉄板を棒で突いて見たり
木箱を叩いて居ると尻尾が見えた。そこを突っつくと反対側の隙間から可愛らしい顔がこっちを見ている。
間違いなくハクビシンだ。
横に回ってさらに後ろの方から突っつくと入り口の方へ移動した。外で待機していた居候も固体を確認したらしく
捕虫網を構えた。勢子役が奥の方から入り口に向かって棒で突っついて移動すると獣は入り口に向かって走った。
出てきた獣は居候にハエやトンボをすくい採るが如く捕虫網にすくい獲られた。
以前マムシを捕虫網ですくったのを見たことがあるが、獣をすくい獲ったとは聞いたことがない。
網の中で宙吊りにされ、はじめ獣は暴れたが、手足の自由がきかないことに観念したらしくおとなしくなった。
どうも獣類は袋に入れられるとおとなしくなるらしい。
網の中を覗いて見るとネコくらいの大きさで、鼻筋が白く、体はほんのすこし緑がかった黄色っぽいこげ茶色である。
囚われのみとなって網の底で牙をむき出して威嚇する顔つきには野生の獰猛さが感じられる。
よく見ると口元にはあどけなさが残っているようで、どうやら今年生まれた子供のようである。
雨宿りなら岩穴か崖下の洞でするがいい。なんでこんな所に迷い込んだんだ。作物を食い荒らす害獣であるが殺して
しまうのは哀れである。今回は悪さをした訳ではない。記念写真を撮り、「ここには二度と来るなよ、悪さするなよ」
とよく言い聞かせて無罪放免した。