集合は午後二時に八重河内のやまめ荘である。予定通りに着くとすでに顔見知りが待っていた。受付を済ませ前庭の芝生に腰を下ろして説明を聞く。芝生の上に車座になるのは少しひんやりして気持ちが良かった。
南信濃村が用意したマイクロバスに乗って国道152号線を南下し青崩峠へと向かう。途中、兵越峠への道から分岐してからは道幅かだんだん細くなり、対向車が来たらどうなるか心配になったが、幸いなことに対向車に出会うことはなかった。沢の溝越えの際車の尻が路面に擦れたりしてマイクロバスが通るのは無理と思われるほどの道であった。それでも国道である。
国道は谷の右岸斜面のかなり高い所を山肌に沿ってくねくねと曲がって登っているのであるが、道は杉や檜の松林の中を通り、時には鬱蒼と茂った林の中を抜け、時には対岸の紅葉した自然林が透けて見える林の中を通る。美しい紅葉が見えた時には歓声があがる。谷川に沿って昔の秋葉街道が有り、今もその跡が残っていると云う。
青崩峠への登山道の案内板を過ぎた先に少し広い平らな所があり行き止まりである。そこでバスを降りた。日本中探しても国道の行き止まりは152号線にしか無いかも知れない。
国道の終点から峠までは、よく整備された登山道がある。国道脇に立つ案内板には峠まで20分と記されていたが、紅葉を楽しみながらゆっくり登る。
30分以上歩いたであろうか、ほどなく青崩峠に着いた。そこには、静岡県水窪町作ったと云う展望プラットフォームがあり、課長の説明を聞き、記念写真を撮った。
この峠には、水窪町からは車で来て徒歩5分ほどで登れると云う。また、熊伏山への登山道であり、静岡県側からの登山者がよく来るとのことである。
秋は日が落ちるのが早い。暗くならないうちに帰り着けるように登って来た道を駆け降りた。バスの止まっているところから峠の方を仰ぎ見ると、さっき覗き込んだ青白っぽい崖の頭が見えた。へぇーあんな所まで行って来たんだ。
夕食はやまめ荘自慢のいろり端会席である。真ん中にいろりを備えたテーブルに8人づつ座る。いろりには湯豆腐の鍋が置かれ、炭火の周りにはやまめのくし刺しと里芋のくし刺しが灰に刺して立ててある。説明によるとやまめは6時間掛けて焼いたもので骨まで食べられるとのこと。魚の骨に弱い輩は、串を両手で持って背びれのところに噛みついて見た。これは旨い。骨は全く口に触らない。それならばと勇気をもって頭をかじって見た。骨は全く感じない。気が付くと背骨から尻尾まで、串をなめるようにして食べ尽くしていた。
車は一旦国道へ戻り、上村方面へ北上する。トンネルを抜けた所で左折してループ状にカーブして国道を跨いで坂道を上る。少し走ると遠山川の右岸斜面の中腹を走る様になる。時々、紅葉した対岸の斜面が雨模様で霞んで見えた。国道から10分も走らないうちに車は民家の庭先に突っ込んで止まった。
霧雨の中を近くの山に入りキノコ探しを始める。林の中は木の葉のお陰で雨が全く気にならない。ここにはキノコが結構生えている。キノコを求めて緩い傾斜地を登って行くと少し平らな所に出た。小さな祠がある。少し離れた所に白い杭があり、中根城趾と書かれていた。キノコの名前やそれが食べられるかどうか見分けられないのであるが後で選別してくれると云うので、食べられそうなキノコはみんなビニール袋に入れて持ち帰った。
昼食にはまだ少し早い。そこで時間潰しに近くへドライブに連れてってくれると云う。昼食の準備を手伝うことになった二人の常連女性を除いて再びワゴン車二台に分乗して出発した。小生は、課長が運転する先導車の助手席に座った。初めのうちは何処へ連れて行かれるのか解らなかったが、走っているうちちに下栗と解った。そこで昨日新聞で知った「下栗では、ふれあい祭りをやっている」と運転手に話した。すると「ふれあい祭り」に行こうと云って、民家の点在するジグザグに曲がる坂道を登る。以外に早く祭り会場に着いた。
ここには、以前来たことがあるが、上村の下栗と南信濃村の中根が隣り合った集落であることを知らなかった。これまでは全部が下栗と思っていたが、「上の方が下栗で、下の方は中根」であった。
下中根の山崎さん宅に着くと昼食の用意が出来ていた。くるみオコワやコンニャクの刺身など山里ならではの心のこもったもてなしに満足する。食べ終わった頃、みんなで取ってきたキノコのおすましが出来上がる。これは、キノコを選別した後、ゴミを取りながら小さく割って水で洗わずそのまま煮たもので、課長が直々に味付けしてくれた。新鮮なキノコの香りをそのまま味わえるものであった。
その後、ワゴン車に分乗してかぐらの湯へ戻り解散となった。私どもは、かぐらの湯に浸かってから家路に就いた。
今回は三回目の参加で顔見知りが多かった勢か気楽に話ができ、楽しい思い出ができました。
雨模様にも係わらず楽しくできたのは、山崎課長、鎌倉さん、川手さんのほか南信濃村の方々の暖かいもてなしによるもので、以前から体調のよくない女房ともども感謝いたしております。おかげさまで、南信濃村の心と地理についてよく知ることができました。
南信濃村ファンクラブ「アンバマイカ」についての問い合わせ先 : 南信濃村役場商工観光課 0260−34−5111 (アンバマイカ担当)
また、この峠は、秋葉街道が通って居り、昔、武田信玄の軍勢の一部が通った道でもあると云う。
峠から信州側はほとんど眺められないが、5分ほど登った所に信州側がよく見渡せる場所があると云うので、そこまで行くことになった。そこは崖の頭であり確かに眺めがよい。崖下を覗くとバスが一台止まっている。我々を乗せてきてくれたバスである。大声で呼んで見たが返答はなかった。
その時引率者が小声で云った。「登る前にあそこまで行くよと云ったら登らずにバスで待ってると云う人が増えてしまう。」
宿に帰り着いて風呂に入って少しゆっくりすると夕食の集合時間の6時近くになった。1階の食堂に行くとまだ時間前であったが待ち切れないのか幾人かが来ていた。
私が座ったテーブルは、皆夫婦でリピーターである。料理やいろりの話、郷土の子供の頃の話などしてお互いの交流を深め、時には大声で笑い転げたりして、お喋りをしながら川魚山菜料理を楽しんだ。
二日目は朝食後8時半やまめ荘をそれぞれの車でかぐらの湯の駐車場へ向かって出発した。かぐらの湯の駐車場にて村が用意したワゴン車二台に分乗してキノコ山へ向かう。
はじめに訪れたのは池口集落の眺めのよい所でである。道路脇に車を止め、車から降りて眺めを楽しんだ。そこからは、遙か下の方にかぐらの湯が見え、遠くに天龍村方面が霞んでいた。ここはガイドブックには記載されていない観光ポイントである。
再び車に乗って移動すること数分で広い駐車エリアに着いた。そこで車から降り山に入ってキノコ狩りをする。しかし、20分ほど探したがキノコはあまり取れず。雨が落ち始めたので急いで次の場所へ移動する。
民家に帰り着くとキノコについてよく解る方が待っていていてくれた。それぞれ、取ったキノコをテーブルの上に出して選別して貰う。およそ半分は食べられないキノコであった。
ふれあい祭りの会場は下栗の最も高い所にあるロッジの前である。広場の周りにテントが張られ、展示即売をやっていた。それぞれ試食したり品定めして買い物をして30分ほど楽しんだ。
帰りはロッジから少し下った所の分かれ道を右に折れて狭い道を通るコースで上中根に下り、下栗から国道沿いの学校の所へ下る道を横切って下中根に降りる。途中にはワゴン車でも切り返さないと曲がれないカーブがあり、自分で運転して通る気にはなれない道であった。
あの素晴らしい紅葉に包まれた山里が印象に残り、急傾斜地に暮らす人たちの努力と執念には感服させられた旅でした。また、近いうちに南信濃村を訪れたいと思います。