引っ越してきて間もない頃のことである。お花見か何かで自治会の班の方々と一杯飲んだことがある。その席でご近所の方から「俺の田んぼを貸してやるから野菜を作れ」との申し出を受けました。転居して1年後くらいから少し借りて野菜作りしやうかと思っていた矢先のことです。自宅から400メートほど先の休耕田で広さは120坪ほどです。屋敷以外に野菜を作る場所がなかったのでお借りすることにしました。
お借りしたもののろくな鍬もなく耕そうにも耕せない。手で耕すにしては広すぎるし、60歳を越した身体では手に負えそうもない。そこで一番小さな2馬力のマメトラを購入しました。子供の頃親爺の手伝いで農作業をしたことはありますが、耕耘機やトラクターを使ったことはありませんでした。マメトラを買ったもののどうやって耕すのか知りませんでした。とにかくマメトラを田んぼへ持って行きエンジンを掛けハンドルを握ったら耕せました。
120坪の田んぼは結構広い。まずは、真ん中に排水溝を掘り、じゃがいも、なす、トマト、里芋など植え付ける準備をしました。
借りた田んぼは村道に面して居り見通しがよく、作業していると遠くから見え、車で通っても田んぼで何をしているかよくわかります。田んぼに居ると通りかかった人がそばに来ていろいろと教えてくれました。
お借りしたのは田んぼであるから当然水はけが悪い。雨の日の翌日などは長靴を履いて入ってもずぼっと潜ってしまう。はじめの頃は良く知らないからスニーカーを履いて入って悪戦苦闘したことがあります。そんな訳で里芋の出来はよいが大根類の出来はよくありません。
今年は夏の干ばつで秋野菜はなんど播いても芽が出ず不作です。
一年以上経った今考えると、この田んぼをお借り出来たことは非常にありがたいことでした。この田んぼでお百姓さんのまねごとをすることで地元の皆さんと共通の話題が出来親しく成れました。
引っ越してきておよそ1年半経ちましたがその間に解ったことは、農業で生計を立てるのは並大抵ではないことと、田畑に毎日行かないとろくな作物は出来ないことです。