◇ ナスティ ◇


 「一体、どうやったのさ、あのクリスマス・カード?」
 「ん? いや、実は翔破弓を使って北欧に連絡をとってだな……」
 「えっ、すっげー、迷惑じゃん」
 「てか、危ねーじゃんかよ」
 「2人とも、当麻の口から出まかせを信じる気か?」

  純が寝てしまった後で、5人のそんな会話が聞こえてきた。
  多分、当麻は種明かしなんか、しないだろうけど、実は私、知って
 るのよね。
  あの夜、当麻が電話を掛けてるのを偶然、聞いちゃったから。
 「メッセージは普通でいいよ、ただ、宛先をJun Yamanoって
 して欲しいんだ………うん、そう……すまんな、おやじ」

  それを聞いて、すぐ、思い当たったの。当麻のお父さんが、今年の
 ノーベル賞授賞式に参加するため、スウェーデンにいるってことを。
  サンタクロースからのクリスマスカード。
  確かに平凡なメッセージだったけど、“世界中が平和で、皆が幸せに
 暮らせますように”という一行は、みんなの心に沁みたと思う。

  ところで、こんなに楽しい一夜が過ごせたのは、純のあのひと言の
 お陰よね。あの後、私にだけ打ち明けてくれたけど、純はサンタは別に
 どうでも良かったのよ。ただ、闘いに疲れて滅入っているようだった、
 みんなの気持ちを引き立たせたかっただけで。
  ホント、あの時の純に比べたら、今の彼らの方がずっとコドモ。
  
  でも、しょうがないか。
  特別な使命を帯びたサムライとはいえ、彼らだってまだ、ミドル・
 ティーンなんだもんね。
 「ナスティのプレゼント、女の人向けの色じゃなかったね、ごめん」
  おや、珍しく気の利いたこと言ってくれるじゃない、遼。
  
  じゃあ、お返し。
  ううん、と首を振り、私はニッコリ微笑んで言った。
 「今夜、みんなが怪我もなく揃って元気でいてくれたのが、私と純に
 とっては一番のプレゼントなのよ」

  ………ふっふっふ。決まったわね。
  ほら、窓の外には雪もちらついてきたし、ツリーのイルミネーションが
 とってもきれい。本当に今夜はムード満点、最高のクリスマス・イブね!
  
  
                                                             〈了〉
 
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