南駒ヶ岳の雪形「五人坊主」


 南駒ヶ岳:この山の北方には昔から「五人坊主」と地元の人々に呼ばれている雪形を見ることが出来ます。春、農作業の始まる頃にきちんと毎年現れます。

 形は人間の形などのようにはっきりしたものではなく、5つの黒い「点」が現れるのです。
 摺鉢窪カールの上部(南駒ヶ岳北)の稜線直下に5つ、ポンポンポン・・と。

 下の写真を御覧下さい。(右側の円で囲んだ部分)
 これが私たちが麓から呼ぶ「五人坊主」です。見られる場所は飯島町の与田切川寄りから七久保地区で見られます。
 こうした地味な雪形であり、殆ど地元でしか知られていない雪形であろうと思いますが・・これが南駒ヶ岳を代表する雪形「五人坊主」です。どうぞよろしく。。
 その他いくつかの雪形も紹介します・・・。


(2008年5月6日撮影:飯島町七久保より)

牛天神
中央アルプス南駒ヶ岳から仙涯嶺をこえて、南の山「越百山」(こすもやま:2613m)の北の峰頭に5月上旬から下旬にかけて現れます。
天神様の使いといわれる、尾根を飛び越えて走っているような大きな牛の形が山肌に見られます。(上の2枚は2001.5.13撮影)

(2010年5月15日撮影)

(2010年5月15日撮影)

五人坊主:稗(ひえ)まき女
5月上旬から下旬にかけて南駒ヶ岳摺鉢窪カール上部の稜線に現れるのが「五人坊主」です。
上の画像、まるで囲んである二つの雪形のうちの右側のほうです。雪がとけていくと五人の男が並んで歩いているように見えます。麓に農作業の始まりを告げる雪形です。一番上で最初に紹介した写真(2008年撮影)のほうがはっきりわかりますね。
次に南駒ヶ岳の東斜面には島田髪を結った全身の女性姿が現れます。まるで囲んだ左側のほうの雪形、これが「稗(ひえ)まき女」です。
隣に現れる岩肌を含めて、何人かの女性が作業をしている「稗(ひえ)まきじょろし」とも呼ばれることもあります。毎年はっきりとした全身姿を見せてくれます。(2001.5.13撮影)
 

「まりつき童(わらべ)」・・(私の雪形)

 ところで私の勝手に決めた「私の雪形」・・「まりつき童子(わらべ)」

 上の写真の「稗まき女」の雪形ですが、私はこうした名前がついていることを知らなかった頃から、この雪形を、頭の毛を束ねて止めた着物姿の子供が、足下のまりをついている姿に見ていました。・・・だめでしょうか・・・?。私はこれを「まりつき童子(わらべ)」と勝手に呼んで毎年眺めています。毎年必ず綺麗に現れます。

 以上、こだわりの「私の雪形」でした。こうした「私の雪形」というものは、誰にもどこかにあるのではないでしょうか・・・。
 しかし、文献によって南駒ヶ岳の中腹に「稗まき女」があり、別名「見返り美人」とも呼べるらしいものがこれであるようなのだが・・・後に残念・・・とも思ってしまったのでした。

「ひえまき女:2008年5月6日撮影」

「ひえまき女:2010年5月15日撮影」・・・毎年同じ姿をきちんと見せてくれます。

「五人坊主:2008年5月6日撮影」

「五人坊主:2010年5月15日撮影」・・まだまだ「小坊主」です。これから徐々に大きく成長していきます。


種まき権兵衛:駒
南駒ヶ岳から北に向かい、「田切岳」北側の谷ひだに現れるのが左側の「種まき権兵衛」と右隣に現れる「駒」です。5月中旬から6月上旬にかけて現れます。麓では田植えの目安とされてきた雪形です。
左向きで斜め下を向き、手を前に出して背中にはかごを背負っている姿がわかります。その右隣では馬がいますが、この画像ではまだ頭の部分と下の胴体・足部分がまだつながっていません。権兵衛さんが現れたあと少しずれてお供をするように駒がはっきりしてきます。(2001.5.13撮影)