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MP3と著作権について
MP3(MPEG1 Audio Layer III)はCD並みのクォリティーを確保しながら、データサイズを約10分の1にでき
るので、ネットワーク・携帯プレーヤ等での利用が注目されています。 (MP3の解説)
一方、ハイクォリティーのデジタルデータでコピーも容易なことから著作権を侵害する利用が一部で見られ、MP3
技術そのものが悪者扱いされていることは非常に残念です。(アメリカで最初にMP3プレーヤ(再生のみ)が、著作権
上問題があるとして、著作権団体が訴えましたが録音機能がないことから問題なしと判断された事例もあります。)
確かに著作権の面でグレーゾーンはありますが、著作者の利益を侵害しない利用法はあるはずです。
そこで、MP3と著作権の関わる問題についてまとめてみました。(一部私見もありますのでご注意ください)
著作物の複製
利用者は著作物を、無断で複製し有償・無償問わず第三者に渡すことは禁じられています。但し私的利用の範囲
において複製使用することができます。私的利用というのは、家族(家庭内)や友人等少人数で限られた空間(部屋・
自動車車内等)での使用をいいます。
私的利用(複製)については、アナログの時代は上記に考え方を拡大解釈し、事実上無償のコピー配布はほとんど
自由にできました。 しかし、技術が進歩し音源がデジタルになりそれを劣化させることなくコピーできる機器が一般化
してきたため、私的複製について、より厳格な規制・運用が行われるようになりました。
私的複製に対する保障・・・私的録音補償金とSCMS(シリアル・コピー・マネージメント・システム)
デジタル音源の複製は音質劣化がなく、私的利用であっても著作者の権利おかす恐れがあるため、補償金および
SCMS制度が平成5年6月から始まりました。
私的録音補償金は、私的複製により被る著作者の不利益を補償金という形で保障するものです。また、SCMSはデジ
タル音源のコピーは一世代のみ可能で、二世代以降はアナログに変換しないとコピーできないシステムで、MD・DAT
等はすべてこの機能が付いています。
ところで、MD・DAT等を使っているが前記の補償金を支払ったことがないと思われる方がいると思いますが、心配ありま
せん。補償金は、本来コピーをする毎に支払うべきですが手続きが煩雑になる等の理由から、機器およびメディアを購入
時に利用者が支払い、機器等の販売メーカーが文化庁が定めた団体SARAH(サーラ:私的録音補償金管理協会)に収
め、著作権者等に分配される仕組みになっています。(金額は機器が1000円程度、媒体は定価の1.5%、補償金対象
のものには、補償金が含まれていることが書いてあります)
一方、私的録音補償金が必要な機器・媒体は、著作権法および施行令で決められていますが、実は結構あいまいとい
うかそれぞれの団体の思惑のため、抜け道があります。
法30条2項 私的使用を目的として、デジタル方式の録音又は録画の機能を有する機器(〜略〜その他の本来の機能
に附属する機能として録音又は録画の機能を有するものを除く。)であつて政令で定めるものにより、当該
機器によるデジタル方式の録音又は録画の用に供される記録媒体であつて政令で定めるものに録音又は
録画を行う者は、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。
施行令1、2条で、具体的な機器・媒体が規定されており、現在指定されているものは次のとおり。
DAT(デジタル・オーディオ・テープレコーダー)、DCC(デジタル・コンパクト・カセット)、MD(ミニ・ディスク)
オーディオ用CD-R(コンパクトディスク・レコーダブル) 、オーディオ用CD-RW(コンパクトディスク・リライタブル)
上記のように対象は、音楽専用機器に限定されているので、パソコン用のCD-R、CD-RW(機器・媒体とも)はデータ保存
が主目的(音楽CDコピーは付属機能)であるため除外されています。パソコン用に売っているCD-R機器等は、補償金は
課金されてませんが、音楽用と明示さらたCD−R機器・メディアは、補償金分高くなっています。また、パソコン用CD−R等
には前述したSCMSの機能がついていないので、コピーは自由にできます。さらに、MP3に変換することにより、CD並みの
音質で、データを圧縮しパソコン・携帯プレーヤ等で活用でき補償金も対象外です。
MP3の補償金については、日本音楽著作権協会(JASRAC) に問い合わせてみましたが、パソコン等と同様で補償金
の対象外で、現在SARAH等で検討中だそうです。
多分パソコンが除かれたのは関係機器メーカが、機器代が高くなり売れなくなると困るから、こうなったと思います。
しかし、パソコン用のCD−R等の機器の普及やMP3の私的利用範囲を超えてネット上での公開されようようになり、音楽CD
が売れなくなったと、関係者は言っています。(それ以外にも音楽ソースの質低下とデフレ時代における価格にあると思いますが)
その対策として、JASRACではネット上のMP3のやりとりの取り締まりをやっています。しかし、CDのコピーについては対策がとれ
ないため機器メーカーに関係ないレコード会エイベック(一般的にレコード会社の関連会社には機器メーカがある)が、最後の手段
としてCCCD(コピー防止機能付き音楽CD)を発売しました。
これは、コピー・MP3変換ができないCDなので、原盤のCDを直接聞くことしかできません。ただこれは、利用者の権利を制限して
いるので、問題があるとの意見があります。(私も同感です。)たとえば、自動車でCDを聞く場合高温や振動にさらされるので、原盤
でなくコピーを使いたいときや、自分の好きな曲だけを集めCD−Rに焼いて聞きたいなどの場合です。いずれも、著作権法で認めら
れている私的複製の範囲です。
エイベックは、機器メーカーに気を使う必要がなくビッグアーティストを多数抱えているからできたと思います。エイベックは、これに
よって「もうエイベックは買わない」といわれることも覚悟してやったといっているので、本気です。
追記:04/9/17 エイベックスはCCCD採用について、運用を軟化させました。 採用をアーティスト側の判断にゆだねるようです。
反対する消費者やアーティスト側の勝利かな。
着メロVS着うた(著作権VS著作隣接権)
最近着メロに変わり新しい技術として着うたが出てきましたが、これは単に技術やサービスの向上だけでなく、背景に表題の著作権
と著作隣接権の問題が隠れています。
着メロ市場が急成長し、市場規模でみるとが音楽業界の売り上げの約1割を超えおり業界は、誰もが笑いが止まらないことと思ってま
したが、実は業界のなかで苦々しい思いをしている方がいます。それは、著作隣接権を持っている方々です。
音楽CDで著作にかかわる人は、著作権をもつ作詞・作曲者と、著作隣接権をもつシンガー(演奏者)、レコード会社等がありますが
着メロの場合は、著作権使用料のみが発生します。シンガー・レコード会社からみれば、曲を宣伝し歌った(演奏)から、この曲(着メロ)
が売れたのになぜ使用料が入ってこないのとの、思いがあるのは当然でしょう。
そこで登場したのが着うたなるものです。着うたは、音楽CDの一部をMP3化して配信するサービスのため、著作権とともに著作隣接
権も発生するので、音楽関係者すべてが権利を得られます。当然その分利用料は高くなり、着メロだと1曲10円〜ですが、着うただと
100円程度に跳ね上がります。(CDそのものが売れないので、こちらがドル箱になっているようですが、着うたはちょっと高すぎ・・・)
正規に入手したCDであれば、それを変換して着うたにしても問題ないはずですが残念ながら、携帯側に制限かかっていて完全には
できません。着うたのフォーマットのデータは、携帯で一定サイズ以下であれば登録して聞けますが、着信音には設定できません。
着信音に設定できる着うたもどきのもの(えせ着うた)も、サイズに制限があり音質が低下します。(10秒程度であればそこそこ使えますが。)
いずれにしても、自分の聞きたい音楽が自由に手に入らない使えない状態になることは避けたいので、使う側もモラルを持って音楽
を楽しむことが大切です。